月別アーカイブ : 2010年2月

投稿日:2010年02月08日

2010年02月08日

<監視カメラ作動中>
外に出るとこういう文字をよく目にする。
「え、どこに?」
文字を見つけるとカメラを探している自分が居る。
若い頃はカメラに向かってピースサインを出したり、踊ったりと悪ふざけをしたこともあったが、この監視カメラも今はもう豪邸につけられている特別な物ではなくなったのだ。
しかし私は監視カメラと言えば、ずっと8ミリカメラみたいな形をしているとばかり思っていた。だから、「ここって監視カメラもないんだ」と思う場所は結構あったように思う。
でも、これがカメラだったのか・・・・。
私は最近のカメラのことを火災報知器だと思って見ていた。
そうでなければスプリンクラー。
あうー。知らなかった。
監視カメラがあるとも知らずに、私は「誰も見ていない」と思って、ダラ〜っとしてみたり、鼻くそをほじったということはなかったとしてもスカートをまくりあげてタイツを上げ直したりしたことはあったはずだ。
カメラに向かって醜態を晒していた可能性、大。
「監視カメラ作動中」よりも「監視カメラはこの形になりました」の表示の方が欲しかった私なのであった。


投稿日:2010年02月07日

2010年02月07日

新宿で用事を終えてから、ふとプチ探検がしたくなったのでそのままバスに乗って都電荒川線に乗りに行った。
都電荒川線は都内を走る路面電車で早稲田から三ノ輪橋の間を結ぶ電車だ。駅は全部で30ある。実際に走っているところは見ていて、機会があれば乗ってみたいなぁと思っていたのだった。
<とりあえず気になった駅があれば降りてみよう>
自分の生活圏にはない電車に乗るのはワクワクする。この辺りに住んでいる人にとっては見慣れた景色になっているのだろうが、駅前の商店街や家並みを眺めるだけで新鮮な気持ちになるのだ。
トコトコと走る電車って可愛いな。
「赤いスイトピー」で聖子ちゃんが歌っていた”春色の汽車に乗って〜”の電車のイメージは、私の場合こういうトコトコと走る電車なのだ。汽車でもなく、海にも行かないが、春になったらまたうららかな日差しの中を走るトコトコ電車になるのだろう。
「次は、飛鳥山〜飛鳥山〜」
へぇ、知らなかった。広い丘の公園みたいなものがある。「飛鳥」と聞くと私は奈良県を思い出すので、急に「奈良」にやってきたような気分にもなる。
私が降りたのは「荒川遊園地前」。ここは「あらかわ遊園」という小さい遊園地がある。すぐ横の隅田川で水上バスで行くことも出来るようで、つい先日テレビでそれを見たっけ。入り口まで行くと、今日は風が強いので乗り物は全て止まっているらしく、ミニ動物園とゲームコーナーは開いているとのことで、中に入ってみた。
yuen2.jpg
子供向けのアトラクションばかりでサイズがみんな可愛い。
ヤギやヒツジに触れられる一角があって、動物コーナーはちびっこ達にも大人気だった。
あらかわ遊園をブラっとしたら、また都電に乗って終着駅の三ノ輪橋まで行ってみた。商店街は日曜日なのに、というか日曜日だからなのか、休みの店が多い。地元の人が自転車で買い物にやってきていて、古い商店街のようだった。
次の電車がすぐ後ろにまでやって来ていたり、走っている男の人の方が速かったり、ちびっこが運転席の後ろに立って進行方向の景色を楽しげに見ていたり・・・。
平日はまた違う顔があるのかな。
都電荒川線の日曜日ののどかな午後の景色だった。


投稿日:2010年02月06日

2010年02月06日

すぐ近くの家の犬の話だ。
ここの犬は柴犬を一周りか二周り大きくした恐らく雑種の犬。ここに私が引っ越してきた時に、時々夜シーンと静まりかえった所に「ワオン、ワオン」と鳴くことがあったので、「昔は犬と言えば、外につながれていて、番犬の役目をしている犬が多かったよなぁ」と、その声を聞きながら思っていたのだった。
ダンボを連れて、散歩に行く時にはチラっと見てみる。
塀で見えにくいが、そのお宅の玄関の前に犬小屋があってそこでつながれて過ごしているようだった。別に人なつこい犬でもない。だが目が合うとジっとこっちを見ていたりする。吠えられるかなと思ったが、一度もダンボを連れていても吠えられたことはなく、そうかと思えば私の前を歩く人には吠えたりもする。
いつもそこに座っている、その犬のことが気になっていた。
寒くないのかなぁ。
暑くないのかなぁ。
家の人が玄関の所に居ると、その犬はとても喜んで飛び跳ねていた。そういう場面を二度程見たっけ。
<無邪気なところもあるんだなぁ>
外で鎖につながれてずっと過ごすって、ストレスじゃないかしらと心配もしたが、犬にすれば飼い主さんが決めたことに不満はなかったりするのかもしれない。
だが今年に入って、その犬の姿が見えなくなっていた。
最初は散歩中なのかなと思っていたのだが、そういえば鳴き声も聞いていない。どうしたんだろう。散歩の時に何度か背伸びをして塀の向こう側を覗いてみたけれど、犬は居なくなっていた。
<ワンちゃん、居なくなっちゃったね>
玄関がその日から少し暗く感じるようになっていった。
何度通っても、もう犬の姿は見えなかった。
”今日は居るかしら”と思い続けていたが、もうあまりそのことは考えないようになっていった。
もう居なくなってしまったんだ。
切なくなるので、理由はぼんやりとしか考えないようにしていたが、亡くなった以外には考えられないだろう。人の家の犬でも、やっぱり死んでいなくなるとやっぱりとても悲しい気分になる。
そして2月になった。
「ワオン」「ワオン」
<あら?>
ダンボとの散歩の帰りに久しぶりに小さく、あの犬の声がした気がした。
「ワオン、ワオン」
<あっ。>
少し見えにくい場所だったが、あの犬に間違いない。
背伸びをしたらあの犬が居た。
たまたま会えなかっただけなのか、いやそれにしては気配が無さ過ぎた。
<ダンボ、あのワンちゃん生きていたね。よかったね>
ダンボはもうすぐ大好きな家に帰れる場所に来たから、嬉しそうに尻尾を振って走る。今日のお散歩は楽しい終わり。ダンボと私の二つの影が、夕暮れに弾んだ。


投稿日:2010年02月05日

2010年02月05日

家から割と近い所にある家がある。
少し前、そこはお引っ越しをするのかな?という雰囲気があった。家の前の荷物が片付けられ、やけに殺風景な玄関になったなぁと思っていたら、しばらくして次に家の前を通ると、白いペンキが門に塗られていたのだった。
<ペンキの塗り替えをしているんだ>
町内では数軒の家が一年のうちにポツポツとペンキの塗り替えをしている。塗り替え中のお宅は、外に足場が組まれて建物全部が囲まれている状態で、”ただいま建築中”ぐらい大掛かりな外観になるのだが、この家では業者さんでなく、恐らく家人が休日を使って少しずつ塗り替えをしていると思われる。
<ちょっといびつだけれど・・・>
<最終的にはきっとつじつまを合わせるんだろう>
そう思って、白ペンキを被ったような門を後にしたのだったが・・・・。
しばらくして、その家の前を通ると、その白ペンキを被った門はそのままになっていて、更に門の前の短い私道のコンクリート部分がこれまた白ペンキを被ったような状態になっているのを見つけたのだった。そして前は土だった所に白い砂利が敷いてあり・・・・。
家人も失敗だと思っているんじゃないだろうか、と思う程不器用な玄関先になっていたのだ。
<ありゃりゃ>
<やっぱりペンキ塗りは素人じゃ難しいんだわ>
ちょっと気の毒に思えて、その日はその白い家を後にしたのだった。
そして今日。
白い家はその白ペンキで玄関と壁がベトっと塗りたくられていて、いよいよ収拾のつかないおかしな景観となって完成していた。
<オー、マイ、ガー!>
更に頑張ってみたが、より深みにハマってしまったという状況。
真っ白なのに、こんなに汚い白い家は見たことがなく、私もコレにはビックリしたのだ。
ペンキの塗り替えって、難しいんだ・・・。
そう私も学習させていただいた。
リセットボタンがあれば、塗り替える前のお家に戻してあげたい。
<でも、中に居れば外側の色なんて気にならないってば>
心の中で励ましてみる。
ちょっぴり気の毒な白い家なのだ。


投稿日:2010年02月04日

2010年02月04日

昨日の外来帰り、バスに乗っていつもと違うルートで帰る途中でのこと。
文京区は東京23区の丁度真ん中にある区で、東大や湯島天満宮、東京ドームのあるところで、住宅街という感じではなく住宅もあるがどちらかと言えばビルなどの施設が多い街だ。
バスを降りて、駅に向かって歩いていると「ここは何屋さんなんだろう?」と、近くの町ではあまり見かけないようなお店も見つける。
<へぇ、ここは介護用品の老舗なんだ>
大通りに面してこじんまりしたお店があるのが特徴だ。きっと昔はこのお店ぐらいの規模で道も走っていたんだろうが、周りがどんどん変わって行ったエリアなんだろう。まさにここも都会の中心部でよく見るような景色だ。
「ん?ここは何屋さん?」
古めの建物の店のガラスに女の子とラブラドールが写っている写真が何枚も張ってある。一枚が割と大判で、それが何枚もガラス窓一面にあって、ショットは違うが同じ女の子とワンちゃんが仲良く楽しげに写っている写真だった。
<写真館?>
一見そんな感じだったが、それにしては素人のスナップ写真っぽい。
<お孫さんが可愛くて、きっとこうして張ってあるんだわ>
微笑ましいなぁと思った。
<何のお店だろう?>
そのまま歩いて店の前を過ぎると中が見えた。
ここは馬肉専門店。大きな馬肉の塊が見えた。
犬と女の子が戯れる写真があって、その次に目にしたのが馬肉というのがちょっとショッキングだったのだ。馬と戯れる写真だったらもっとショックを受けたかもしれないが・・・・。うーーむ。お肉屋さんとして見るには落差が大きすぎた。
でも長くここでお店を開いている様子なので、この店も歴史があるのだろう。
時々、個性的な店がぴょこんと顔を出す。
都会の中を歩くと、こんな発見があるのだ。


投稿日:2010年02月03日

2010年02月03日

外来日。
待ち時間が2時間程あったので、バスに乗ってちょこっと出かけてきた。病院のそばからは東大構内行きのバスが出ていて、終点の東大構内で降りて5分程歩くとそこに「弥生美術館・竹久夢二美術館」がある。前から私はココに行ってみたかったのだ。
木造の三階建ての小さな美術館。弥生美術館はある弁護士さんが挿絵画家の高畠華宵をはじめとする明治・大正・昭和の作品を多くの人に見てもらいたいということから建てられた美術館なのだそうだ。この日は高畠華宵の作品と共に、鰭崎英朋展が開催されていて、妖しいムードを放つ絵がたくさん展示されていた。「美輪明宏の世界」的な妖艶さ、男の子の絵もあるのだがどれも美輪明宏さんとダブる。
弥生美術館のあとは建物続きになっている竹久夢二美術館に進む順路になっている。竹久夢二は絵も有名だが恋多き男性だったようで、その辺りの女性遍歴も展示の一環になっていた。そしてこちらの美術館に来ると今度は、大正時代の文化や暮らしについても紹介されていて、「へぇ〜。結構モダンな時代だったんだ」という自分の思い描いていたよりうんと自由な時代だったのが少しわかった。
面白広告のコーナーが面白かった。当時の新聞や広告で面白い物が展示されていた。
「みの品本は薬へは毛るな全完れ勿ふ迷」
そっか。当時は右から文章を読むんだった。
<迷うなかれ、完全なる毛はえ薬は本品のみ>
「ンゲーロピ薬へは毛」
この広告は<毛はえ薬の「ピローゲン」>というものらしい。大正時代でも髪が薄くなるのは男性にとっての悩みだったのかとちょっと意外だった。
二階の喫茶室はご婦人のお客さん達に人気らしく、満席に近い様子だった。行ってみたかったけれど、今日は時間切れ。
東大の建物も、古くに建てられていて、この辺りを歩けば少しタイムスリップをした様な気分が味わえる。ご婦人方も少女に戻って、目をキラキラさせて美術館でのひとときを過ごす界隈。
また来たいと思わせる不思議な引力のある町並みだった。


投稿日:2010年02月02日

2010年02月02日

毎年、寒い時期になると一人暮らしのお年寄りの家で火事があって、人が亡くなるというニュースを見る。中野に住んでいた時にも近所のアパートが火事になり、全焼してそこに住んでいたお年寄りがお亡くなりになった。
それまで私は、火事は寝たばこや消し忘れが原因だと思っていた。
お年寄りになると、うっかり火の始末を忘れてしまうのだという思い込みがあったのだが、私も一人暮らしが長くなってきて、いや、そうじゃないんじゃないかと考えるようになってきたのだ。
調理中に具合が悪くなってしまった。
何らかの体調の変化で、火がついているのはわかっているのに、それを消しに行けない状況に陥る。一人暮らしなので、それを誰かに伝えるすべもなく、そしてそれが火事になってしまうケースの方が本当は多いのかもしれない。私自身、日常ガスを使っている時には責任感で気が引き締まるし、神経質かもしれないが火を止めた時には毎回「よかった!」と安心しているのだ。
火災報知器の設置が義務づけられて、もうあと数年で日本は全ての住宅に火災報知器がつくので、これは必要なことだなと私も思うようになった。平成20年に始まって来年には全ての都道府県で義務化となるが、東京都では今年義務化になる。
よく考えてみたら。
お年寄りの方が、火の始末には用心深かったんじゃないかなと思う。
焼けてしまった事実だけが残って真相がわからないまま・・・、それは自分にとって他人ごとではないことだ。
<私みたいなことがないように>
亡くなった方が、そう私達に願ってくれているのかもしれない。
火災報知器の設置の義務化に、そんなことを思うのだ。


投稿日:2010年02月01日

2010年02月01日

天気予報では夜は雪になるということだった。
夜の11時。仕事を終えてビルを出たら雪が3センチ程積もっていた。更に雪はまだ今も降り続けていて、ここに来た6時間程はそうではなかったのに、東京はすっかり「雪の降る街」に変わっていた。
あたたかいビルの中に居たので雪が降り出したことさえ、全く気づかなかった。
少し前にすれ違った人が「滑るから気をつけたほうがいいですよ」と声を掛けてくれたが、ほんとうだ。これは滑りそうだ。
駅までの道のりは約5分。
傘は持っていたけれど、滑って転んで怪我をすることを思い浮かべたら、ここは雪に濡れてもよし。傘と杖の二本で雪道を確実に歩こう。
いつもよりゆっくり歩き、駅に向かう。
後ろから来た人がまた一人、また一人と私を追い越して行く。
寒いので寒さを紛らわそうと、小声を歌を歌っていたら・・・・
ふと頭に降り掛かっていた雪がやんだ。
「駅まで、よかったらどうぞ。」
振り向くと女の人が傘を私にさしてくれていたのだった。
「杖だと、傘させないですもんね」
そう言って、駅までの道を私に傘をさして一緒に歩いてくれたのだった。
「電車、大丈夫ですか?私、歩くの遅いから」
遅い時間なので、一本逃すと大きい。私に親切にしてくれて、それで電車に遅れてしまったらどうしようと気になったのだが、彼女は「もう帰るだけだから、私は大丈夫ですよ」と返事をくれたので、そのまま彼女の好意に甘えることにしたのだった。
駅ビルに着いて、
「ありがとうございました。助かりました」
お礼を言うと、
「風邪、ひかないようにね。じゃぁ、さようなら」
そう言って、彼女は足早に去って行った。
一人で歩けば、きっともっと早く駅に着いていた。
<ありがとう。>
多分私より年下の女性。
話し方がとても素敵だった。
笑顔と口調の柔らかさがとても胸に残った。
優しいバトンをもらった。
このバトンは誰かにまた渡さなくちゃいけないバトン、そんな気がした。
素敵な女性だった。
雪降る寒い帰り道、あたたかい贈り物を私はもらったのだった。