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投稿日:2013年04月06日

2013年04月06日

よく図書館を利用する。物作りをしている人間としては、作品を買うのではなく借りるということにちょびっと後ろめたい気持ちはあるが、私にとっての永久保存版やいただいたりしたもの以外は図書館から借りることで済ませることが多くなった。

小学生の頃は「移動図書館」のバスがたまに近所の公園にやってくることがあった。

本を読むより外で遊ぶことの方が楽しかった私も、近所のあっこちゃんについていってあっこちゃんが「どくとるマンボウ」シリーズを借りるのを見て”賢い友達は、こういう文化的なセンスが暮らしの中にあるんやなぁ”と尊敬したものだった。

私は読みたい本を探すというより、バスの中に入ったらそこに本棚が設置してあって、自分の知るバスの中と違う様子の方が興奮した。あっこちゃんの真似をして、自分も何か借りたと思うのだが、何を借りたのかが思い出せないのでやっぱり本に興味はなかったのだと思う。

移動図書館って今もあるのかなぁ。

学校からのいつもの帰り道で、「学習と科学」を売っていたり、移動図書館が来ていたり、子供用の手品の出店が開かれていたり、ヒヨコを売っていたりした特別な日があった時代だ。

もうすぐ学校が始まる。

真っ直ぐに帰っていらっしゃいと言われるのはいつの時代も同じなのだ。


投稿日:2013年04月03日

2013年04月03日

今年の東京の桜は開花が早かった。

桜が咲く頃を楽しみに待つようになったのは、重症筋無力症という病気で長い入院をしたことがきっかけだ。

今までで3回、入院生活で桜の頃を送った。

同室になった患者さんたちは様々な病気を抱えていて、「桜の頃までには退院出来るかしら」「次の桜を私は見ることが出来るのかしら」と、それぞれの桜の咲く頃に対する想いを耳にした。

桜はなるべく早く咲いてくれた方がいい。

そしてなるべく長く咲いてくれますように。

桜の頃になると毎年そう思うようになった。

今年はうんと早く咲いてくれた桜。

雨にも風にも負けずに、よく頑張って長く咲いてくれたなぁと思う。

病院のベッドの上で、窓から見える大きな木を眺めながら「ず〜っとその場所から動かずにそこにいることってとても退屈でしんどいことなのに、木はよく耐えていられるなぁ」と思っていたが桜も、花を咲かせるその時以外は実に気配を与えず地味に過ごしている。

ありがとうね。桜。

咲いてくれると命の素晴らしさをかみしめる。

今年も桜を見ることが出来てよかったわと心からしみじみ有り難く春を想う人がたくさんいる。

長いこと咲いてくれてありがとう。

頑張った桜に感謝を送りたい。


投稿日:2013年04月02日

2013年04月02日

従姉妹のゆかちゃんとともくんの二人と、松戸の叔母の家で再会をした。

叔母一家の人達と2歳年下のゆかちゃんとは連絡を取っていたが、弟のともくんは長く会っていなかったせいか記憶が3歳児ぐらいで止まっていた。なので、最初に声を聞いた時に「声変わりをした声」にまず違和感を抱いたのだ。

子供の頃、ゆかちゃんとともくんは夏休みに愛知の田舎の祖母の家で毎年再会するのを楽しみにしていた。

私は子供の頃、夏休みは一ヶ月近く祖母の家に預けられそこで田舎体験をぞんぶんに味わった。

朝は近所の養豚場のブタの鳴き声で起きる。

「みきちゃん、たまご取ってりゃぁ」

祖母の小さな田舎の家には敷地内に鶏を飼っていて、それが卵を生むので取りに行くのだ。朝はそうして卵の入ったみそ汁が出てきた。トイレは外にあるぼっとんトイレだったし、お風呂も薪で沸かす五右衛門風呂、井戸水は夏でも冷たかった。金だらいなのか井戸水なのか、家とは違う水のにおいがした。

たまに「グラタンが食べたい」と母親が恋しくなったが、駄菓子をいっぱい買ってもらえたり、プールに連れて行ってもらったり、畑に行ってトマトやナスをもぎった今思えばあんなに楽しい夏休みの冒険の連続はなかったのではないか。

そして田舎に預けられて一ヶ月ほど経ったお盆の時期に、「東京からゆかちゃんたちがやって来る」のが夏休みの最後の楽しいイベントだったのだ。

ゆかちゃんたちが祖母の家に泊まるのは3日程度。

叔父の東京弁や、ゆかちゃんとともくんの話し言葉が普段自分の使っている言葉遣いより優しく聞こえて、ちょっと緊張して初日は人見知りモードが出てあまり仲良く出来なかったが、次の日ぐらいになるとだんだん打ち解けてきて、それで最後は尾張温泉というスパランドにみんなで行ってそこの夏季限定のお化け屋敷に入ってそれで別れたっけ。

せっかく仲良くなれたのにもう帰っちゃうのかぁ。

なかなか会えない従姉弟だったが、大人になった今はもっと会う回数がなくなっていた。

もう祖母の家もなくなって、今は代々のお墓があるだけだ。

私達も今では懐かしい思い出を語れる人が少しずつ少なくなっていく世代。

一人だとすっかり忘れてしまっていたことが集まれば思い出せることもある。

”従姉妹”との関係は”兄弟姉妹”とはまた違う独特な距離がある。

でも身内なんだよなぁ。

近い関係なんだなぁ。

懐かしい会話を通じて今日はあらためてそう思ったのだった。