投稿日:2008年12月12日

2008年12月12日

ブラーン、ブラーン。
南側の窓を開けて左上を見ると、中2階の位置にあったクモの家はもうほとんどがなくなっていて、一部だけが残っている状態だ。
光に反射して、天気のいい日には糸がキラっと光ったりする。
でももうクモの姿はない。
住む人がなくなった家は朽ちるというけれど、それは人間の話だけじゃないんだ。
主がいなくなったクモの家。
雨や風にさらされてだんだん壊れていく。
かろうじて残った所が、時々ハンモックみたいに揺れている。
シンプルに生きて。
生きるだけ生きたら、生から素直に手を放した。
あとに残った家をどうしようとか、そんな悩みや心を煩わせるものも何も持たずに。
人間だから、シンプルに生きられないけれど、それでもなるべく心がシンプルに近付けるようにありたいな、と思う。
ブラーン、ブラーンと残骸が揺れて。
さよなら、さんかく、またきて、しかく。
ここに、クモが居たんだよ。
あのクモを見て、心に留めた人間が一人居たんだよ。


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