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投稿日:2009年04月30日

2009年04月30日

マスクの季節が過ぎれば、鉄仮面の季節がやって来る。
UV仕様の仮面風サンバイザーをかつては笑っていた私も今ではすっかり愛用者となった。この仮面をつけたらUVカットはもちろん、向こう側からはこちらの顔が全く見えないので、すっぴんのまま気軽に買い物に出掛けられるというのが何より有り難いのだ。
しかしながら「仮面」はやはり存在感があるらしい。よく「再度見直される」形でジロジロと人から見られている。人というのは目が合わなければ興味のあるものはジロジロ見てみたいという心理が働くのだな、ということがわかったのだが、おかしいのは私からは本当は見えているということなのだ。
”まぁ、顔が全部隠れているわ。このヒト”
と、ビックリ目で堂々とこちらを見ている無防備な様子を、逆に私に直視されていることに気がついていない。
このUVサンバイザー、互いに動物園の檻の中を見せる役割を持っている。
「他人に知られずに、覗き見が出来る不思議なサンバイザー」
・・・・というグッズ。文言だけ取り上げてみたら、これって「王様のアイデア」に置いてそうな品ではないか。
鎧兜を被って私もいざ出陣。
図書館へ本を返しに行って、それからドラッグストアで洗剤を買ったら帰りにスーパーでイチゴを買わなくちゃならぬ。
ダン坊よ。
キミは城で待っていなさい。
ひひひ〜〜ん。
黄色い馬に乗ってぶぅうううんと城を出たのであった。


投稿日:2009年04月29日

2009年04月29日

随分昔、丁度今ぐらいの時期に、大学1回生の時のゼミの初めての親睦コンパがあった。H教授のクラスは30人弱、女子生徒が数人という内訳になっていて、週に1回しかゼミクラスは開講されなかったので、みんなまだ友だちになれていない関係だった。
場所は金閣寺に近い西大路通り沿いにある中華料理店。
ゼミのH先生は当時35歳ぐらいだったんじゃないだろうか。ご結婚されてそんなに経っていないような話で、おとなしく育ちのよさそうな男性なのだが、見た目のおとなしそうな雰囲気と変わって、乾杯の音頭を取った時に「今日は僕のおごりなので、みなさん楽しんで下さい」と太っ腹なことを言ったのだった。
<大学教授ってすごいんだなぁ>
そう思ったのを覚えている。
コンパはその後普通に盛り上がった。まぁ未成年でお酒を飲んだ人が結構いたということはあったが、それ以外はよくあるコンパの一次会といったムードだった。
そして店を出たら二次会は喫茶店に行くことになった。
二次会の喫茶店にて。
「あら」
先生が具合いが悪そうに、店の隅っこに座っているではないか。
飲み過ぎちゃったんだろうか。そうでなければ、先生は持病があると言っていた。もしかしたら具合いが悪くなられたのかもしれない。
「先生、大丈夫ですか」
女子数人で声を掛けると、先生は生気のない顔でこう答えたのだった。
「みんなに奢ると言ったけれど・・・・、」
「こんなにお金を使うとは思ってもいませんでした」
えぇ〜〜〜〜〜っ。
「10万円、下ろして来たんですけれど」
「まさか使ってしまうとは・・・」
そうしてガックリとうなだれるのであった。
まぁ・・・・30人が飲み食いすれば、10万円ぐらい行くかもしれない。
男子達はそういうことも知らずに、「ここの喫茶店も先生の奢りですよね〜」なんて調子のいいことを言っている。
そんな中教授はひとしきり「どうしよう」「どうしよう」と暗くうつ向いているばかりなのだ。
他の女子は何て思ったかは知らない。
だが、18歳の私はあまり同情的ではなかった。そんなに暗い顔をするのなら、明るい顔で「すまない、ちょっとやっぱり徴収させてくれ!」と言ってくれたらいいのに、先生頑張ってよと思って黙って聞いていたのだ。
H先生は、ひとしきり落ち込んだ後でヤケになって暗い声でこう言った。
「もうみんな、パフェでも何でも食べて下さい」
別に奢ってくれなくていいよ、先生。
<大学の先生ってすごいんだなぁ>
と、思った3時間後。
「この人、ちっこいわ」と心の中でつぶやいたのであった。


投稿日:2009年04月28日

2009年04月28日

D−naughtライブで六本木に行く。
リハーサルの後、自分の出番まで時間があったので、六本木ヒルズにちょこっと出掛けることにした。
いい衣装があれば買いたいなということもあったが、洋服の値段って本当にわからない。なんでこんな安っぽそうなTシャツが26000円もするのか。と理解出来ないアーティスティック値段のものがあったり、そうかと思えば2900円でワンピースが買えたりもする。値札をペロっとめくる時は、「クイズ!ハイ&ロー」的なクイズの回答者になったみたいで、「これは7800円といったところでしょう」と思ってめくると「59000円」という答えを知る。
私はしょっちゅう「何でやねん!」と心の中で叫んでいる。「なんでなのか」の理由が書いてある値札って、一度ぐらい見てみたいのだ。その理由に感動すれば、例え59000円の品であっても、リボ払いにして買うことは私にも可能なのである。
六本木ヒルズのRというお店に入った。
ここは割といいお値段のするカジュアル系のお店なのだが、やはり「可愛い!」と思った品は予想より2倍程高い値段だった。「理由もなく金額だけが表示されている値札」のままでは財布を開くことは出来なかったのだ。
「いらっしゃいませ」
「よかったらご覧になって下さいね」
値札に憤慨して店を出ようとしたら、めずらしくすごく笑顔の素敵な青年が店員さんであることに気付いた。
めずらしく、知らない人に「素敵なひとだわ」と胸キュンした瞬間であった。
一瞬、乙女な私になったのだが・・・
値札を思い出すと、紅潮した頬は消えた。
<あなたと私の間には深い溝があるの。>
<それに、そろそろ戻らないと>
そうしてシンデレラは店をあとにしたのであった。


投稿日:2009年04月27日

2009年04月27日

お隣に住むご婦人は、旦那さんを亡くされてから一人暮らしをしておられる。息子さんからもらったネコちゃんが去年だかに同居人になったみたいで、時々動物の会話になることがある。
「ジャンボは元気?」
私がいつも「ダンボ!」と叱っている声で、名前を覚えて下さったんだろう。しかし、惜しかった。ご婦人には「ダンボ」でなく「ジャンボ」と聞こえていたのだ。
確かにチワワにしてはジャンボサイズなのだが、冷静に見れば子犬サイズの大きさなので、「ジャンボ」となれば完全に名前負けしている。
当のダンボは「ジャンボ」と呼ばれると反応をしている。私が「バンビ」と呼んでも反応をしないので、「ジャンボ」は「ダンボ」に近いらしい。
「ジャンボは元気?」
「はい、元気です」
いいよね、別に。
ジャンボでも。
私も3年間お世話になったゼミの先生に、「吉田さん」と呼ばれ続けた。女子生徒が数人しか居ない中、名前を覚えてもらえないってどういうことなんだろうと思ったこともあったが、「吉川です」と言い直すことにも、あまり意味を感じなかったので、「吉田さん」を満喫させていただいた。
ダンボの名前は血統書上では「エキサイター・オブ・アライ」。”新井さんちの刺激的なヤツ”という妙ちくりんな名前だ。
ダンボにジャンボに新井さんちの刺激的なヤツ。
いろいろ名前を持つ、贅沢な犬なのである。


投稿日:2009年04月26日

2009年04月26日

リハーサルが終わって、ミホちゃんとなっちゃんの3人でご飯を食べに行った。
2人は気付けばもう長い付き合いになる。でも3人でご飯を食べるのはどれぐらいぶりになるんだろう。10年以上は開いているはず・・・・
もう思い出せない遠くの点と点が繋がって線になる。
会わなかった頃の話は、そんなに重要じゃない。だってお互いいろいろあったに違いない。
何かで「女性はしばらく会っていない人と再会したら、”連絡もしなくてごめんね”という会話になることが多いが、男性は昨日も会っていたかのように間が開いたことについて触れない」と書いてあって、男性的な再会っていいなと思ったことがある。
空にはたくさんの星があって。
星と星を結んで星座を作る。
人の歩いて来た道にも、無数の星がある。
それらを繋いだら、暗い闇を照らしてくれる明かりになってくれることがある。
出会った人達は星だ。
何でもない話が楽しかった。
そうだね。
明るい星が「明日も頑張ろうよ」と帰りの駅までの道を照らしていた。


投稿日:2009年04月25日

2009年04月25日

レコーディングで新宿御苑そばの某スタジオに行った。
ここはビルの地下一階にある。上の階は一般の会社が入っていて、平日は人の出入りが多いのだが、今日は土曜日で上の階にある会社は全てお休みみたいなのだ。
平日はエレベーターが頻繁に利用されていて待ち時間があったので、最初は空いていていいなと思っていたのだが、夜になって来るとちょっと寂しく不気味な感じがしてきた。
前回、音楽スタジオには幽霊が出る所が多いという話題をエンジニアのKさんとしたところだ。ここのスタジオも見える人には見えるらしく、生首を見た人も居るなんてことも聞いてビビったのだったが・・・・。
このビルは、女子トイレが2階と3階の間にある。エレベーターで上ってから、階段を下りてトイレに行くのだが、一人でエレベーターに乗ってシンとした上階で下りて、そこから人気のない階段を下りて更にトイレの電気を自分でつけて一人でトイレの奥まで行くというのが、夜が更けていくにつれだんだん憂鬱になってきたのだ。
さすがに「トイレについて来て下さい」とは言えないので、勇気をふりしぼって行く。こんな日ほど、トイレに度々行きたくなってしまうのだ。
急いで手を洗って急いでトイレを出て、急いで地下に戻る。急いでもせいぜい2秒ぐらいしか時間は短縮出来ないのだろうが、とにかくトイレに行くのが怖いというのは久しぶりかもしれず、ずっと心の中で「こわい、こわい」とつぶやいていたのだった。
しかし何度目かのトイレの時、ふと鏡を見たら、恐怖に怯える自分の顔が何よりも恐ろしい表情になっているのに気がついた。
「生きている人間が一番怖い存在なんですよ」
と、いつだったか誰かが言っていた。
鏡を見て私も思った。
<自分の顔が怖い。>
化粧のノリやブサイク云々を越えていた。
何かに怖がってビクビクしている時、本人は自分自身のことを小動物か何かになっているつもりだが、見た目は恐怖マンガに出て来る斧を持った老婆の顔にそっくりになっているのである。


投稿日:2009年04月24日

2009年04月24日

パーマとカットで美容院に行った。
家の近くに可愛い外観の美容院があって、ここは前から気になっていたのだ。
この辺りは店が少ない。ワンちゃんのお散歩コースだったり、ウォーキングやジョギングをしている人も居て、それにテニスコートだってある。ここら辺は「急いでどこかに行かなくちゃならないヒト」ではなく、ちょこっと豊かな時間を何かの間に充てているヒト達が往来しているので、カフェやレストランが一軒ぐらいあったっていいのに座れる場所は川沿いのベンチしかない。
だから、この美容院を見つけた時は「やっと可愛いカフェが出来たわ!」と一瞬とても喜んだのだ。
美容院は姉妹でお店を構えたのだそうで、置かれている雑貨や植物などが可愛いらしい。髪をやってもらいながら、「この辺りに可愛いカフェやレストランがあればいいのに」という話で一致した。
「お店、そんなに難しくないですよ」
「なんとかやっていけるもんですよ」
「思い切ってやってみられたらいかがですか」
「絶対流行ると思う」
妹さんが冗談まじりに勧める。
カフェや雑貨は大好きだ。自分に経営力があると思えば、もちろん店を開く側になるべく目標をたてているだろう。だが、どう考えても私にはその才能がない。ガレージセールやヤフーオークションで着なくなった服を売ったりしたが、我ながら”これじゃ子供のお店屋さんごっこだなぁ”と、商売人に向いていない感じがしみじみしたのだ。
しかし、美容院の姉妹との会話で”家の近所はカフェやレストランがあって欲しい場所”なことがやはり事実なのだと思った。
うんと前、実家では「この駅に急行が止まりますように」と願い、前に住んでいた家では「近くにコンビニが出来ますように」と願い、今は犬の散歩をしながら、「ここはカフェになりますように」「ここにレストランが出来ますように」と願っている。
またここに引っ越して来て、他人の敷地や家をジっと見ている気持ちの悪い女性になっているのである。


投稿日:2009年04月23日

2009年04月23日

D−naughtライブリハーサル。
リハーサルでお世話になっている幡ヶ谷のここのスタジオは、機材やスタジオが使いやすいことに加えて、スタッフの対応が気持ちがいい。全部で3店舗あるが、どこを利用しても対応もきちっとしているので、安心して電話も出来るのだ。
最近はリハスタも丁寧な対応をしてくれるところが増えた。で、丁寧な対応をしてくれるスタジオは機材のメンテナンスや使い勝手も工夫がされているので、スタジオに行かなくても電話を掛けてみた時の応対で、だいたいそのスタジオがどんな感じなのかがわかると思う。
昔、付き合っていた彼氏が貸しスタジオでアルバイトをしたことがあったが、話を聞く限りすごくイヤなスタッフだったと思われる。
「オレより若いヤツにエラそうにされるのが許せん」「オレより下手なヤツに頭を下げるのが腹が立つ」とよく言っていて、必要以上にピリピリしていたのだ。その頃はスタジオのバイトはバンドをやっていてギラギラした兄ちゃんがスタジオ番に居たりすることも少なくなかった。なので、お客さんをお客さんだと思わずに”練習に来る下手な後輩”だと勝手に見下しているバイトくんも居て、昔の彼氏はその典型だったのだ。
今はスタジオ利用の際に、「様」を付けられることもある。昔の扱いからするとビックリするほど丁寧で、というか、スタジオもようやく普通の社会での流れに沿うようになった。
私もうんこ座りをしていた怖い者知らずのフリーターから、今はだいぶ丁寧語でスタッフの方との会話が出来るまでに成長をしたのである。


投稿日:2009年04月22日

2009年04月22日

外来日。
診察と診察の間に3時間程の待ち時間があったので、バイクで病院周辺をブラっとすることにした。
まずは何となく「北」の方に言ってみる。
まっすぐ進んでいたが、やがて大通りに出て、流れ上左に曲がることとなった。
しばらくブーンと進む。
気まぐれにまた左に曲がってみた。
”そうだ、ここって上野まで結構近いんじゃないの”
急遽予定は決定、バイクに乗れる散歩猫は、前から行ってみたかった上野公園の国立博物館にある某レストランでランチをすることにしたのだった。
以前、友人にここの博物館内にあるレストランは、とあるホテルのレストランが入っていて、美味しくてロケーションもいいので豊かな気持ちになれるとお勧め話を聞いていたのだ。その後、2度程来ようとしたが博物館までが駅から遠いので途中でリタイアした経緯があり、行きたいのに行けなかった場所としてどんどん自分の中での価値が上がっていったのだった。
今日こそ、ホテルNのランチを頂くわ。
ところが・・・・。
平日にもかかわらず、今日の博物館はすごい混雑。60代ぐらいのご婦人方がツアーか何かで来ているのか、ちょっとしたバーゲン会場のように人がやってきていて、レンストランの方に行ったが既に待っているグループが10組ぐらい、土壇場で更に徒競走のように2組のおばちゃんらに抜かされたので結構な待ち時間となったのだ。
でも、やっとあこがれのお店に来ることが出来ました。
待ち合いの椅子に座ること30分。ようやく席に通された。メニューがちょっと少ないかなと思いながら、ランチメニューのさわらのソテーのセットを頼んだのだったが・・・。
「お待ちどうさまでした」
注文して出てきた料理は、正直言って「まずい日の病院食」と同じぐらいのまずさだった。魚が生臭かったのと、それから注文をして3分ぐらいで料理が出て来るという点が謎だった。コーヒーとライスがついただけで、1980円ってちょっとどうなんだろう。というのが感想だったのだ。
しかし、上野公園の辺りって、どうも私自身は惹かれるエリアなのだ。時々、家から近いわけでもないのに無性に訪ねたくなる。そういう場所は前世で縁があった場所だったりするんだと聞いたことがある。前世占いでは私のスタートはカブトガニだったそうだが、その頃に上野周辺に生息していたのかもしれない。
博物館は時間の都合で回れなかった。
カブトガニはバイクに乗れる猫になった。
また来たいのだ。


投稿日:2009年04月21日

2009年04月21日

暖かいなぁと思ったら、夜になると冷え込んだり、寒いかもしれないと思ってコートを着て出たら、街ではみんな軽装だったりと、4月の天気はまるで気まぐれな彼女に振り回されているような感じなのだ。
今日は小雨の東京。
彼女の機嫌がちょっと悪いらしい。
何を怒っているのかはわからないけれど、どうも冷たい気がするんだよね。
といった天気だ。
4月の春は、気まぐれな彼女の尻に敷かれて。
「勝手にしろよ」と言って彼女に合わせるのを放棄したら、風邪を引く。
あーぁ。
裸足にサンダルは失敗だった。
寒いよ・・・。
だけどさ、一体キミは何を怒ってるのさ。
早く機嫌を直しておくれよ。
今日はちょっぴり彼女の機嫌が悪い日、なのだ。