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投稿日:2009年04月17日

2009年04月17日

郵便割引不正事件はとても残念な事件だった。
以前、障害者用のステッカーを張った車がある娯楽施設周辺にたくさん止めてあって、路上駐車が出来るということを悪用している運転手達を取材した特集をやっていた。あれも見ていてガックリ来た。
人にはいろいろな事情がある。だが、みんなそれぞれ自分の抱えている事情をなにかしらの知恵や工夫でカバーしつつ、社会の中で生きているのだ。
知恵ってそういう風に使うものなのか。
障害者団体のスタッフの人がインタビューに答えていた。「ウチは本当にお金のない中で郵便物をなんとか出しているんで、こういう事件は悲しいです」と。”なんとかやれている”向こう側にある知恵や工夫の内容は、今回の郵便割引不正をしていた人間にはわからないだろう。
透析を週に3回受けていた病友が、「しんどくてバスの優先座席に座ったら、すごく冷たい目で見られちゃったから、座りたくても座れないんだよね」と言っていた。これは日々のうちのほんの一例でしかなく、障害者手帳を受けていても社会の中で助けが足りない場面はたくさんあるのだ。
<ちょっとぐらいいいじゃん>
と、いった考えをしがちな人がいる。本人は誰にも迷惑をかけていないんだし、と勝手に自分で決めていたりするが、その考えはどこかで誰かに必ず迷惑やしわよせを作っていて、時間が累積していけばどこかでその歪みは表面化するのである。
知恵や工夫はこんな風に使うものじゃない。
「そんなに悪いことをしたのかなぁ」
逮捕者が出たが、心の中では今もそうつぶやいているように私には見えてしまう。
”ちょっとぐらいいいじゃん”という声が、聞こえた気がしたのだった。