大学時代の友人が東京に仕事で来るというので、少し前に夕飯を一緒に食べる約束をした。
東京に来てもう14~5年になるというのに、私は未だに東京のことを知らない。特に宿泊ホテル辺りの銀座は、関西に住んでいた頃から知識は1%上がった程度なのだ。多分Sくんは店なんてどこでもいいやと言うだろうが、そこは仮にも東京人として大人のおもてなしをせねば!と、この一週間はネットと図書館で「銀座」の勉強をしたのだった。
それにしても、お店を決めるのって難しい。昔からこういう役回りは全て誰かにやってもらってそれに甘えてきた。「みんなと会えるなら店はどこでもいい」と思っていたので、幹事さんには気楽に進めてもらっているつもりでいたが、いざ自分が「店はどこでもいいよ」と言われるとなると、「あ、ほんと?じゃ、当日適当に見つけようか」という風には思えないものだ。
てんぷらにしようか、洋食にしようか、鉄板焼きにしようか、居酒屋さんにしようか・・・・。この一週間、ネットと図書館で「銀座」をキーワードに店探しで大いにあっちこっち揺れたのだ。
私が調べた銀座のお店は日曜日は定休日のお店が意外に多かった。
いつかテレビで美味しそうなおでん屋さんの紹介をしていたなと思って、調べたらその店はお休み、他にも気になる店をチェックしたのだが、閉店時間が早かったり定休日だったりで、店だけでなく開店時間との照らし合わせもちょびっと苦戦する。
結局、田舎者として初心に戻り、最終的に「東京の夜景が見えて」「店がいろいろある」「東京っぽいところ」で”自分検索”をしてヒットしたカレッタ汐留の上の階のダイニングバーを予約してようやく落ち着いたのだった。
汐留駅で下車するのは初めて。かつて汐留ピットという大きいライブハウスがあって、勢いのあるバンドはそこで演奏をしてメジャーになっていった憧れの場所だった。もう今はそのハコもなくなり、高層ビルがたくさん建って再開発されたが、それでも「汐留」という響きには、なつかしくキュンとするものがある。
それにしても、東京に来た友人とご飯を食べる時、つくづく自分が東京人ではないことを思い知る。
今日も「会えてよかった」と思う前に、「無事に約束の場所に着けてよかった」と、ホっとした。この先も東京での自分の自信のあるおすすめコースは唯一、「吉祥寺で私の好きな店ツアー」、吉祥寺の自分の好きな雑貨屋さんとケーキ屋さんを回るコースだけだなと思うのであった。