ダンボは最近ちょっと冷たくなった。
ちょっと寂しい。
犬のキモチがわかる本に書いてあったが、飼い主が呼んでも知らん顔をしている時の犬というのは「面倒臭いなぁ」と思って動かないのだそうで、私が「ダンボ!」「ダンボちゃ〜ん」と呼んでいる時に「あいつ、チョーうざい」「あいつ、チョー面倒くせーな」と思いながら無視をされているんだと思うと、やっぱりショックなのだ。
だって私はお前が大好きなのに。
しつこくすると犬もやっぱり相手がうっとおしくなるとは。
しかしキミ、いつも暇で食べるか寝るかしか用事がないじゃないの。
そんな暇犬に、面倒臭いと思われているだなんて寂しい。
「ダーンボ!」
むぎゅ〜っとダンボに抱きついたら、肉球で顔を押された。
「うっとおしいんだよな、お前」
「ちょっとあっちに行ってろよ」
愛が醒めた年下の彼氏って、きっとこんな態度になるのだ。急にダンボが同棲中の年下の彼氏に思えてきた。そうだ、欲しいものがある時だけはいつも態度が変わって。そういえば私が外出する時に、昔は「お前、今からどこに出かけるんだよ」って怒っていたのに、今は「じゃ行ってくるね」と言っても布団から出ずに「あぁ」としか返事もしない。いいえ、寝たまま何も言わない時だってあるわ。
一緒に居るのに寂しいってこういうことを言うのだ。
「ダンボ」
犬も心変わりをするのかもしれない。
昔、ちょっとだけつき合ってすごく傷つく別れを経験した元カレとダンボは同じオーラを発していた。
なんか・・・あの時と同じだわ。
犬でデジャヴ。
今日、家に帰ったら「ちょっと話あんねん」と、別れ話を切り出されるかもしれないのである。