投稿日:2011年03月09日

2011年03月09日

学校帰りの女子高生たちが、電車に乗ってきた。
自分が高校生だった頃もそうだったが、制服だった頃のおしゃれはスカートやブレザーの丈を変えることや、校則に微妙にひっかからない程度のリップを塗ること、髪型もそうだったがバッグは女子のおしゃれ度を表すアイテムとして、みんな流行に敏感になっていた。
最近の女子高生だと、ぬいぐるみストラップをつけている。あれをチャームと言うのか何と言うのか正式な呼び方は知らないが、みんなカバンに小さいぬいぐるみのキーホルダーをぶら下げているのだ。
私服姿の女の子達もそう。ある子はかばんに、そしてまたある子は携帯に。たいてい一人2~3個はぶら下げているのだが、たまに7~8個ぶら下げている子も見かける。そして数に関係なくぬいぐるみチャームのうちの1つは、ずず黒いというパターンが多いのだった。
子供の頃お気に入りのタオルやぬいぐるみがあって、どんなにずず黒くなってもそれがないと落ち着かないというお守りアイテムがあったという人が居る。だからずず黒いぬいぐるみストラップを見るたびに「一回ぐらい洗おうよ」と心の中でつぶやいたあとで、「いやいや、この子にとっての小さい頃からの親友のような存在なのかもしれないわ」などと訂正してみたりしているのだ。
小学生の頃、私は最大13個のぬいぐるみと一緒に寝ていた。数が増えた理由は、妹が「これ、もういらない」と愛情をなくしたぬいぐるみを不憫に思って自分のベッドに持って来たからである。13個のうちお気に入りの順番はあったが、当時はその心の中をぬいぐるみに察知されないよう、13個のぬいぐるみに毎晩おやすみの挨拶をしてから寝て居たという妙な気の使いようであった。
あぁ、あんなに気を使っていたのに。
みんなどこへ行った。
というより、あるときを境に私が見捨てた以外ないだろう。
ずず黒いぬいぐるみストラップは青春の思い出だ。
彼女達が大人になり、それからずっとあとになって昔話の際に誰かがふと話題に出す。
「そういえば、つけてたよねぇ~~」
「あった、あった!!」
と、盛り上がってそしてその後あのぬいぐるみをどうしたのか誰も思い出せないまま、次の話題へと移っていくのである。


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