パリ4日目。
今日でパリに宿泊するのは最後になるのだが、時差ボケもあってか体調があんまりよくない。これでも以前の自分の行動範囲からすれば控えている方で、本来ならあっちもこっちもどっちもそっちも行っていたであろう私も、今回の旅はものすごく体調に気遣いながら予定を組んでいる。
たった一回の旅であれもこれもまわろうとするのはやめよう。また来よう。そう思って行きたかった所を残して、今日はブラっと近所の散策をするだけにした。
ホテル近くのパン屋さんにスーパー、それからイートインコーナーのあるコンビニ風の店ではお気に入りのヨーグルトを購入。日本でもあるものなのかわからないが、パリに来てスーパーでたまたま買ってから気に入って食べているヨーグルトがある。買ったらスプーンももらって席に座って食べる。ひんやりして適度な甘さでやっぱり美味しい。
街をブラブラしているとレンタサイクルの「velib」のステーションをよく見つける。見つけるのだが書いてある言葉がわからないゆえにうまく機械の登録操作が出来ず、もう6カ所ぐらいのステーションでフラれているのだ。よくめげないなぁと自分でも思うが、一つ気になることがある。これはクレジットカードでレンタルするのだが、途中まで操作は出来ていて最後の所で失敗をしているのでそれこそ30回以上はクレジットカードを入れてトライしているのだ。で、途中デポジット150
ユーロという表示が出て来ているのだが・・・・。
これって日本に帰ってから、すんごい料金を請求されるってことはないですよね!?
150ユーロx30回以上分の料金ってどれぐらいになるんだろう。
1ユーロ115円として、150ユーロだとしたら17,250円。それを30回とすれば・・・。
51万7500円になった。
一度も自転車に乗れなくて、それで日本に帰ってからこんな請求が来たらどうしよう。とにかく言葉がわからないと自分が何をどう失敗したのかさえ掴めないのだから、やっぱり言葉はいくらかは使えるようになっていた方がいいと思ったのだ。
こっちに来てからずっといい天気が続いている。
ハトは日本に居るのと同じ色。ふ〜ん、ハトは一緒なんだなぁと妙に感動をする。
今日の唯一の目標は「ムニエル」を食べること。あまり「食」にこだわりがない私だがそんな中で「美味しいムニエル」だけは食べたいなと思っているのだ。家での料理もムニエルは頻度が割と高くそれなりに満足はしているが、もしかしたら感動する味に出会えるかもしれない。だから今日はどうしてもレストランで美味しいムニエルを食べたいのだ。
夕食の時間になって街で店を探しながら歩いていたら、一軒の素敵な構えのレストランを発見。看板のメニューを見ていたら「魚料理」を表す「poisson」の文字があり、そこには「saumon」という単語が入ったメニューが書いてあった。
「saumon」ってサーモンのことですよね?!
本当は白身魚がよかったが、サーモンでもよい。例えムニエルでなくてもサーモン料理であれば、魚料理の何かしらが食べられるのだろうと思って店に入ることにしたのだった。
念のため、「saumon」の文字を差し店員さんに聞いてみた。
<これは魚ですよね?!>
そうです。魚ですとニッコリ笑ってもらったので迷わずこのメニューにしたのだった。
せっかくパリ最後の夜だからと、軽いコースを頼んだ。
薄々気づいてはいたのだが、こちらは量がとても多い。サラダは前菜と書いてあったが皿にてんこ盛り状態で出てきておまけにドレッシングがフレンチだけあって酸っぱい。普段あまりすっぱいサラダを食べないこともあってサラダがちっとも減らないのだった。
<せっかくの魚料理の前にお腹が膨れちゃう。>
本当に量が多いので食べても食べても減らず、頑張って食べたのに見た目1割ぐらいしか減らなかった。
<でも魚料理を私は楽しみにしてるんです。>
サーモンのグリルなのかフライなのか何が出てくるのかとっても楽しみにしていた私であった。
そうして。
メインの料理が運ばれてきたのだが・・・・・。
「え!!」
・・・・・・・・・・・。
出てきた料理は魚料理ではなく「ラビオリ」であった。
確かに「saumon」はサーモンで正解、店員さんの返事は正しいものではあったのだが。
「saumon」は、クリームソースのラビオリの上にピロっと一枚乗ったスモークサーモンのことなのであった。
うぅううううううううむ〜〜〜〜〜〜〜〜。
確かに間違いではない。
ないのだがぁあああああああ。
ラビオリはフランス料理でなく「イタリア料理」なのである。今回私はせっかくフランスに来たからと敢えてイタリアンの店は避けて来たというのに最後の最後になって「ラビオリ」を自ら頼んでいたとは・・・。しかもあまり好きでないクリームソース・・・・。
とほほ。夢のムニエルは消え、ラビオリもすごく頑張って食べたが見た目1割ぐらいしか減らない状態でお腹が一杯になってしまった。
この店は美味しい店ではなく、量が多い大味の店だったと思われる。
あぁあああああああ〜〜〜〜〜ぁぁああっ。
本日でパリともお別れ。私自身はヒヤヒヤの連続だったが、第三者としてもし私が自分を見る立場だったとしたら、「このひと、ほんまにアホやわ」と大笑いしていた。
実に私らしい、いろいろとあったパリなのであった。