渋谷クラブクアトロに渋さ知らズのライブに行った。
メンバーの一人、トランペットの”たつみっち”は、大阪の吹田にある音楽スタジオ「YOU」で知り合った古くからの音楽仲間だ。今進めているレコーディングで一曲一緒にやる予定なのだが、今月はこのあとヨーロッパ・ロシアツアーに出て10月まで帰って来ないので、レコーディングの打ち合わせも兼ねて渋さ知らズのライブを見せてもらったのだった。
渋さ知らズはHPを見ても、独特の雰囲気がある。メンバーがどこにも紹介されていなくて、集合写真がどこかに載っているだけというわからない部分が多い。
会場は私が行った時間には既に満員、お客さんは大学生ぐらいから上は50代と思われる人まで、男女比は半々といった感じだった。
ステージ上、今日はメンバーが31名。大きな野外の時は100名程がステージ上に上がり、その日のライブによって人数も変わるのだそうだ。7月中旬のライブに最初は行く予定だったが、その時はちょっと少ない人数になるよと聞いて、それでも人数を尋ねると「20人くらい」だった。
私はライブ会場で爆音が鳴ったり、お客さんが一緒に跳んだりすると床が抜けるのではないかと恐怖でいっぱいになるのだが、今日はハッピに赤フンドシのボーカルの人が登場して以降の会場は熱気と盛り上がりで揺れっぱなしのライブだった。
渋さ知らズについては「アングラを源流にしたフリージャズのビッグバンド」という言い方をされている。
アングラ=アンダーグラウンド。
アンダーグラウンドというのは、辞書を引くと「地下の、の意味」や「商業性を無視した前衛芸術ないし、またその風潮」とある。
渋さ知らズも「地底新聞」というのを出している。だから自他共に”アングラ”はキーワードになるのだろう。
”アングラ”は個人的な好みとしては興味がない。否定はしないが、私の好きな温度のものとは性格が異なっている。乱暴に言えば、お客さんは居ても居なくてもどっちでもいいという自己満足な世界だと思っていたからだった。
「今日はここでお前達と一緒に過ごせて、ほんとーに楽しかったぜー!」
赤フンドシのボーカルの人がステージ上から叫び、会場がワーっと叫ぶ。
すごい数のライブの本数をやりながらなお、この人達は本気で一回のライブに燃え尽きている。高校野球の球児たちぐらいの熱さでステージの上からこっちにエネルギーを送ってくる。
この感動は何なのだろう。
渋さ知らズのステージが終わると、私も心が熱くなっていたのだった。