投稿日:2007年12月25日

2007年12月25日

クリスマス。
バス通り沿いに年中クリスマスイルミネーションの家がある。去年の5月にここに引っ越して、その後このチカチカの家を見つけて以降、私は前を通る度にこの家を見てきたのだ。
蝉がジンジン鳴く中、チカチカ。
ウロコ雲広がる空の下、チカチカ。
晩秋になり、ようやくチカチカは季節に馴染み、私も安心して見られるようになったのだ。そして去年は、その頃からイルミネーションの数が増えて、キノコやコビトのライトに二階から架けられたチカチカ、電動で伸びたり縮んだりする光るサンタが設置されたのだった。信号待ちの間、驚いた顔でその家を見ている人の顔を私は何人も見たのだ。
クリスマスが終わり年が明けても、この家のチカチカは「メリークリスマス」と挨拶をしていた。梅が咲きウグイスがホーホケキョとやってもメリークリスマス。しかしその後、この家をよく見たら「謹賀新年」というイルミネーションもチカチカしていることを発見。もう桜の季節になってこの家がチカチカしていても、さほど驚くことはなくなっていったのだった。
雨にも負けず、風にも負けず。
今日もチカチカ、ご苦労さまです。
梅雨を越え、猛暑の中も光り続けて秋になり、やっともうすぐあなた達の出番になるよと、イルミネーションに心の中で話し掛けていたのだが。
この一家のイルミネーションブームは去年がピークだったと思われる。この一年は年中イルミネーションがついたまま、ちょっとずつチカチカの電球が切れて行った。去年異彩を放ったキノコの軍団と伸び縮みするサンタは、一年の間に西日に焼けてすっかり色褪せし、排気ガスでずず黒くなったまま、ついに旬のこの時期になってもチカチカと電気をつけることはなかった。
この家の子供達がサンタを信じていたのは、恐らく去年までだった。夢は今や完全になくなり、この家のイルミネーションは電球が切れた時点で終わるという、ただの生き残りイルミネーションの家となったのである。
サンタさん、もうお暇をもらって国にお帰りよ。
近所の人達が、しぼんだサンタの前を通りながら、一年間胸を痛めてきたことにはきっと気付いていないであろう、罪なこの家の家族なのであった。


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