投稿日:2008年02月11日

2008年02月11日

梅と桃の見分け方が知りたくて、父しげおっちに電話を掛けた。
別にインターネットで調べればいいのだが、実家には梅と桃の木がある。
「ワシは何でも知っとおる!」
いつもの得意気な顔が浮かんだ。
それに父に連絡する際には、何か用事があった方がいいのだ。「元気ですか」と電話をすれば、「何で電話して来たんや」「用事はそれだけか」「今、テレビ見てんねん」の返事しかない。父にとっての明確な用がないと、娘からの連絡は「セールスお断わり」に近い対応で打ち切られる傾向にあるのだった。
「もしもし」
「あんたか」
梅と桃と桜の違いってわかるかなと早速質問をすると、「そんなもん、知っとる。自分は見たらわかるけど、あんたにはわからん。説明すんのはむずかしいわ!」という返事が返ってきた。
”説明出来ないのなら、漠然としかわかってないんじゃん”
心の中でつぶやく。明日のラジオの収録で、私はその話がしたいのだ。正確なことが知りたいので、やっぱりインターネットで調べようと思ったら、今日は父の方の網に自分が掛かってしまった。
父も自分で違いを説明出来ないのがちょびっとくやしいらしい。話は終わったのに、今日はやけに「ワシが見れば、その場ですぐにわかる!」を強調してくるのだった。
だが、そんな答えをラジオで話せるもんか。どこにそんな専門家が居るのか。だいたいテレビやラジオに出て来る「そのことについて知っている人」はだーれも、「ワシが見れば、違いはすぐわかる。」とは言わない。UFO研究家も園芸家も音声解析家も「ワシは知っている」のであれば、具体的に説明出来てナンボなのである。
こっちは終わりにしたのに、終わりにしたくない父しげおっち。
「そういうもんは、インターネットで調べるんがいいんちゃうん!」
と、最後に叫んでいた。
梅は枝から伸びる花枝がなく、桜はそれが長く、桃はその中間ぐらい。で、花びらは梅が先が丸く、桜は先割れ、桃は尖っている。おおまかな違いはこうなのだそうだ。
電話を切ってまた思う。
父はかなり変わっているな、と。
さあて、次の用事は何だったかしら。
互いのコミュニケーションが上手く取れなくても、私にとってもう何の悩みにもならないのである。


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