天気が悪かったが、お花見は決行。
欠席する私のかわりに、ダンボに参加してもらうことにしたのだ。
私が偵察に行った時、結構花見犬というのが居たのだ。花見をしているグループの誰かが連れてきたワンちゃんが一緒に居るというパターンで、昔はビニールシートのはじっこには石を置いて、シートが飛ばないようにしていたが、今は時代が変わりそこにワンコが座っている。
ダンボちゃん、いいかい。
今日は私からのこれはお願い。
このあいだ一緒に偵察に行ったよね。
「使える吉川さん」デビューを狙っていたことも知っているよね。
ダンボちゃん、だけど私は風邪をひいてしまった。
どう思う?
ダンボちゃんは、こんな時どうする?
もし私がお前だったら・・・・
今日はキミがお花見の参加メンバーだよ。
ね!
ビニールシートが飛ばないようにしっかり押さえて来るんだよ。
「いってらっしゃーい」
そうやってダンボを送り出したのだった。
そして、数時間後。
お花見メンバー達が家に立ち寄ってくれたのだが・・・。
「ダンボちゃん、ずっと暗くて」
グループの輪に、意地でも入らないぞといった風でお花見犬どころか、誰にも懐かずずっとただのいじけた犬のまま輪から離れた所に一匹居たらしい。
お前、ビニールシートが飛ばないように座ってくれていたんじゃなかったのかい。
家に帰って来たら、別のワンちゃんみたいに明るくなったと言われて、なんとなくどうしていたのかが頭に浮かんだのだ。
急にみんなに懐くな。
遅い。
花見ももう今年はこれで時期も終わり。このあとは一気に葉桜になり、またこの辺りはのどかな住宅街に戻る。
ダンボちゃん、私達似た者同士だわね。
使えない吉川家の面々なのであった。