投稿日:2008年03月31日

2008年03月31日

私がよく利用する駅の一つ、京王井の頭線の某駅前は他の駅に比べて店が少なく、割とすぐ住宅街になるのだ。駅の北側に大きいスーパーがあって、そこが24時間営業なのだが他は8時や9時に店が終わるので、駅前はそれぐらいになると少し静かになる。
この駅を利用するようになってから2年近くになるのだが、「平和だなぁ」と思いながら「大丈夫なのかなぁ」と、初めて来た時からずっと思っていることがあって、それは駅前のDIYセンターの花屋さんが、店を閉めたあと苗を軽く囲っているだけで、盗ろうと思ったらいくらでも”苗盗り放題”であることなのだった。
昔、バイトをしていた時に「万引きというのは、こちらもされないように工夫をすることで、抑止効果はずいぶん出るのだ」と教えてもらったことがあって、それは万引きをしにくい心理状況を店側が注意して作ることなのだと言われたことが記憶に残っていて、未だに買い物をしながらそれを思い出したりする。だから、最初この花屋さんの前を通った時には、なんてスキの多い店なんだろうかと心配したぐらいだ。
しかし、あれから2年が経とうとしている今でも、閉店後の囲いは甘いままで、しかもどこにも「お花を盗って行かないで下さい」という張り紙がしていないから、この駅を利用する住民達は大変善良な人達なのだなぁと、妙な感心をするのだった。みんなもし、生まれ変わって犬になったとしても、「待て」をいつまでも出来る優秀なワンちゃんになれるのだ。
しかし、私はハッキリ言って、たまに花を盗っていることがある。
盗るというのは変だが、前を通りながら「こうやったら、この花は盗れるなぁ」というシミュレーションをしていることがあるのだ。頭の中にあることをやれば即泥棒。他の店ではそんな想像はしないのに、この前を通る時だけそんな自分が生まれるわけなので、いつか教えてもらった「抑止効果」というのは、やはり大事なんだろう。
前に住んでいた所もとてもいい住宅街だったが、「バイクを盗っていった人へ」「お花を盗まないで下さい」の張り紙があった。
苗盗り放題なのに、誰も盗らない駅前。
いいんだが、ちょいとずさんだなとも思う。考え方によっては、前を通る人達を試している罪な店なのだ。
平和なはずなのに、心配症の私は前を通るといつもドキドキする。
片や頭の中では泥棒になっている私、片や「お花を盗らないで下さい」の張り紙がなくてホっとしているのである。


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