信号待ちをしていたら正面にビッグカメラがあった。
「ビッグカメラ」
「ビックカメラ」
「グ」でも「ク」でも発音上あまり聞こえないのと、視覚上は濁点があってもなくても、なんとなくで伝わる。だから今まで不便を感じたことは一度もなかったのだ。
しかし。
信号待ちの時間に正面の看板を見ていると、
「ビックカメラ」
へぇ〜っ、濁点がないのか。
と、思って目を横にやると、「BIC CAMERA」と英語で書いてあった。
BIG CAMERAなんじゃないの?
カタカナだとアボカドとアボガドの微妙な濁点間違いと同じようなものだと思っていたが、「BIC」と「BIG」は大きく違って来る。そこで初めて、今までなんとなく知っていたつもりでいたこの大型家電店の名前について正しい名称を知ったのだった。
ずーーっと私は「BIG CAMERA」だと思っていたのだ。店名でっかいカメラ。
交差点で亀のようにヌっと顔を突き出し、看板を確かめたが信号がかわり、それ以上そこで看板を眺めていられなくなったが、最後にもう一度チラっと見たら「BIC CAMERA」だった。
長年覚えていた名称の方が自分には本物っぽいので、どうも本当の名前の方が偽ブランド店のように思えて来るのだ。
でも、本当?
「右です」
「左」
「うーん。わかりません」
「C」と「G」の所を集中して見ていたら、視力検査のマークのように思えた。
今は視力にあまり自信がない。
そんな私だが・・・
BIGはBICだった。
”ビッグ”じゃなくて”ビック”りしたのであった。