リハーサルに出掛けようと思ったら雨が降ってきた。
移動手段がバイクから徒歩になると、私の住んでいるところはいきなりどこへ行くにも不便になってしまう。場所によっては5倍ぐらい時間がかかってしまうので、少々濡れてもバイクで出掛けることが増えた。
絶対音を持っている人の中には、生活音まで音程になって聞こえて来るというが、雨の音が「パラパラ」「バラバラ」「ザー」ではなく「ソラソラ」「レドレド」「ミー」と聞こえてしまうのはちょっと可哀想だ。だが、そういう耳の持ち主はいくらか耳を上手く使えると思うので、音程で耳が受け取らないようにシャットアウトして「パラパラ」という聞き方に自分の耳を仕向けているのかなと思う。
今日の雨の音は「パラパラ」から「ザー」に変わった。バイクで走ると、雨つぶって顔に痛いのだ。
今日はDJのTom−Oくんとトランペットの辰己くんと3人のリハーサル。楽器が違えば同じ例えば雨音を表現しようとしたら、それだけで出て来る音が違う。すぐ近くに居ながら自分には演奏が出来ない楽器とそれを演奏する人が居る。今更ながらそれがとても新鮮で楽しいと思う今日この頃なのだ。
昔は自分もいろんな楽器が出来たらいいなと思ったりもした。が、そうすると全ての角度からのイメージが一致しすぎて、アンサブルになった時にかえって線の細い音楽になるのかもしれないなぁと思うようになった。
人の出す音が好きになった。
いや、自分以外の感性の音と合わせるのが好きなのだろう。
それが少人数だとよりくっきりと見えて来るので、それが楽しい。
雨は川になり、いつか海に流れて行く。
まっすぐな川は一つもなくて、緩やかにカーブを描いて流れて行くところが音楽に似ているなと思う。
雨は音楽になり、人は音楽になり。
いつかきっと海へと辿り着くのだと思う。