投稿日:2008年11月27日

2008年11月27日

麻布のスタジオで、午後からはホーンセクションの録音でその後は西川峰子さんの歌入れがある。
麻布はレコーディングスタジオがいくつかあるのだが、レコーディングで来る以外には機会がないので、この辺りも久しぶりだ。
”そうそう、こんな景色だったなぁ”
麻布方面に向かう道で、ようやく記憶にある建物や交差点と繋がった。
”あっ”
そう言えば、私は以前この辺りの交差点で「小林稔侍」を見たんだった。
テレビではその頃、少し情けないオヤジ役どころが多かったので、電車の中で見掛けても違和感なくくたびれた感じで吊り皮につかまって居そうなイメージを抱いていたが、本物の「稔侍」はスラっと背が高くパリっとスーツを着こなして颯爽と歩くとっても素敵なおじさまなのであった。
ヨレヨレのスーツで猫背気味に歩いていると思ったら全然違っていた。
”か、かっこいい!”
交差点で信号待ちの時に見掛けて、信号が変わって渡り終える頃には稔侍にすっかり夢中になっていたのだ。
吸い寄せられるように、交差点を稔侍の歩幅に合わせて後をつけたような気がする。
稔侍、待って〜。
あぁ、そうよ。
そんなことがあったんだわ。
「丁度、この辺!」
私が思わず叫ぶと、車の運転をしていたY氏も「そう!」と突然叫んだ。
「え?」
「稔侍でしょ。ボクも丁度思い出していたんだよ。」
「え!あの時って一緒に居ました?」
稔侍しか見えて居なかったので、私の記憶からはY氏が消えていた。だが、Y氏曰くその日もレコーディングだったからその辺りを歩いていたということだった。
当たり前なのだが、稔侍は今日は居なかった。
でも
また、レコーディングで来れて嬉しい。
上石さんのホーンアレンジがすごくかっこいい。ホーンセクションは上石さんがディレクションをしてくれたので、安心してお任せ出来るので作業もスムーズに進み、仮で自分が弾いていたシンセブラスから大進化した。すごくいい形にして頂いたのだ。
峰子さんの歌も出足からすごくよかった。
とてもいいオーケーテイクが録音が出来たと思う。
東京タワーが近くに瞬いていた。
歌録りは大好きだ。
歌録りに携わっていると、ふと私の音楽観はここに集約されているのかなぁと感じたりする。自分でも不思議なぐらいジャッジの軸がブレないからだ。
一年のうちでも数少ない、自分が最も得意としていることに携われた充実感のある日だった。


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