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投稿日:2010年09月03日

2010年09月03日

PET検査を受けに行く。
この病院は外来で通い始めてもうすぐ3年になるが、地下2階に来るのは初めてなのだ。病院の地下はあまり好きじゃない。院内案内図は載っていないが霊安室がこの階にあるような気がしてならないからだ。
PET検査はガン検査の一つ、ガン細胞は糖分を吸収するのでその性質を利用するらしい。ブドウ糖に近い成分の液を身体に注射をしてみて、糖分の多く集まる箇所を診ることでガンの有無を調べるのだそうで、何年か前にこの検査を知った時はこの検査は自ら進んで受ける勇気はないなぁと思っていた。
予約票を持ってPET検査の受付けに行く。
受付けが済むと、自動ドアの向こうにあるPET検査のエリアに案内をされる。
「こちらで着替えをしたら、待合室で座ってお待ち下さいね」
ロッカールームがあって、ちょっとしたジムのロッカールームっぽい場所だ。着替えを済ませると椅子に座ってすぐに技師さんに呼ばれて奥の処置室に行く。
ここでは血糖値を計ってその後、検査薬の注射を受ける。注射されたら正しい結果を導くために安静にして身体のどこかに偏った負荷がかからないようにジっとしていないといけないらしい。昨日Nさんに聞いた「す巻きにして動けなくされた」あれなんだろう。グルグル巻きは圧迫感があってちょっとイヤだなぁと思っていたら、別室の簡単な個室が4つぐらいある部屋に案内をされ、中にあるリラックスチェアで呼びに来るまでゆっくりしていて下さいという指示を受けた。
す巻きじゃなかった。
40分ぐらいここに居るのかぁ。
電気がついているが蛍光灯の数が少ないので、部屋の中が暗い。
ちょっと心細いなぁと思って15分ぐらいすると、次の患者さんが一人案内されて近くの小部屋に入るのがわかってホっとした。
シーーーン。
「ぶっ」
とても静かだったので人が居ないと思っていたら、足元の小部屋に誰か居たようで大きなオナラが響いた。天井が筒抜けだから悪臭が来たらいやだなぁと思っていたが、結局この部屋には4人患者さんが居たことがその後の物音でわかった。
安静のあとはCTと同じような撮影室に案内をされ、そこで30分ほど撮影をされて検査は終わった。
検査後はすぐに帰ってはいけないらしい。放射性物質を体内から放っている状態らしく、更に隔離別室に案内をされそこで30分待機せなばならなかった。
オナラのおじさんはこの人なのかしら。初老の男性が先に座っていた。私のすぐあとには高校生の男の子がやってきた。こんな若い男の子もPET検査を受けているんだ。一見どこも悪いところはなさそうな、どこにでもいそうなちょっとやんちゃっぽい男の子で、友達はきっと縁がないようなこの場所で制服姿で一人でやって来ているのを見ると、本当は胸の中はどれほど辛いだろうかと考えてみた。
隔離室から出ちゃいけないのに、男の子はしばらくそこに居たがフラっと部屋を出て行った。職員さんが男の子が居ないことに気づいてあわてていたが、コンビニに行っていたようだった。5分程して帰ってきたら買って来たおにぎりを食べていた。
十分、いろんなことを受け入れて過ごしているんでしょう。それぐらいのやんちゃ、したっていいよ。
私達、今なんか放出しているんだって。
ホタルイカ?
「お大事に」
残った高校生の男の子に挨拶をして部屋を出た。
病院に来ることが多くなった。
でも少しずつ何かが進んでいるのだと思おう。
そう思おう。