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投稿日:2008年08月07日

2008年08月07日

愛知県の祖父江という所に”おばあちゃんの家”があった。もう今はなくなってしまったが、小さい頃は1ヶ月ぐらい預けられて夏の間はおばあちゃん家の子供のように過ごしていた時期があったのだ。
鬱蒼とした木が生える敷地には、まずぼっとんトイレがある。少し行くと左手に蔵があって、奥が母屋だ。そこは畳の部屋が二つあるだけの小さな田舎の家で、お風呂は薪で沸かす裸電球が一つ暗い場所。シャワーがないことも、それから下駄を履いて風呂場に行くことも私にとっては「ウチとは違う変な家」だったし、朝から近所の養豚場のブタがブヒブヒと鳴いたりと周りの環境もそれからしつけや食べるものまで、あらゆる面で家とこのおばあちゃんの家での毎日は違っていた。
夜、寝る時はベッドでないこともそうだった。
が、一番の違いはカヤを吊ってもらったことだった。
緑色の大きなカヤが8畳ほどの部屋いっぱいに吊られると、その中は安全地帯。昼間さんざん大きなヤブ蚊に刺されてあちこちが赤く膨れてどうしようもなかったのが、蚊取り線香を焚いてもらえばもうあの蚊達にも刺されない。
「もう寝やーよ」と言われて部屋の電気が豆電球になってからも、アウトドアな雰囲気にワクワクしてなかなか眠れなかったのだ。
縁側、冷たい井戸水、とうふ売りの鳴らすラッパ、畑できゅうりをもぎったり・・・。絵に描いたような田舎の暮らしが体験出来たのが祖父江のおばあちゃんの家だった。
もう行くおばあちゃんの家がなくなった今は、ちょっとどこかに行きたいなぁと思うと、のどかな温泉地の宿の案内を眺めていたりする。
でも、やっぱりちょっと違うんだよなぁ。
お金では買えない旅行がある。
もうすぐお盆休み。
帰省する家がある人達の民族大移動だ。