日別アーカイブ : 2010年10月3日

投稿日:2010年10月03日

2010年10月03日

「歩く練習をして下さいね」
私が今頑張っていることは歩く練習なのだ。
歩行器で病棟内を歩く。歩いていると「頑張っているわね」と褒められるので、歩いているだけで褒められることになんだか違和感がある。
歩く練習を始めてから病棟の中で一部屋、ものすごくうるさい声がする部屋がある。お部屋の患者さんによって、部屋の色が反映されるのだが、ここには相当おしゃべり好きな人がいるらしい。いつ前を通っても大きな声が聞こえてくるのだ。4人部屋のこの部屋で2〜3人の声がいつも響いているのだが、歌を歌っていたりもするので声は10メートル離れても聞こえている。
いやだなぁ。私はこの部屋には来たくないなぁと思っていた部屋だったのだが・・・・。
「安定してきたので、明日から大部屋に移動しましょうね」
部屋番号を聞いてうなだれた。私の移動する部屋が、行きたくなかったまさにその部屋だったからだ。
うぅううーーーむ。
修学旅行かと思うようなあの部屋に行くんだろうか。
憂鬱。
しかし、私がその部屋に移動するということはあのおしゃべり部屋の誰かが退院をするということか。
にぎやかな病室には必ず「親分」が居る。姉御肌でアクのつよ〜い人が居て、その人のペースにみんな巻き込まれていくパターンなので、どうかその親分が居なくなっていますように・・・・と願ったのであった。
夜、また食後に歩く練習をしに廊下に出た。
あの部屋に近づくとやはりおしゃべりが廊下に響いている。
明日から・・・私はこの部屋に来るのね。はふ〜〜。
「とぼけた顔してババンバ〜〜ン。バンバンババババババババ〜〜ン」
「うわっはっはっはっは〜〜〜」
ここはもはや病室ではなく宴会場と化している。どうなっちゃっているの。誰も注意しないのでしょうか。ものすごくガラの悪い歌声と笑い声が廊下の角を曲がっても聞こえてきていた。
静かに過ごせたこの数日間、幸せだった。普段から「親分」「姉御」が苦手な私である。明日から私は大部屋という荒れた海に放り出されるのか。
これもリハビリ。
そうだ。歩くだけで褒めてもらえたのは今日までのこと。
大部屋での生活は社会の窓口。
意外と歩くより重要なリハビリの一つなのである。