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投稿日:2011年05月12日

2011年05月12日

ホテルを出て南に歩いてみた。近くに可愛い雑貨屋さんがあるとガイドブックにあったので、時間を合わせて行ってみたがまだ閉まっていた。この通りはパッサージュと言ってわかりやすく言うと「アーケード街」だ。細い路地風なのだがディズニーランドの一角に来たのかなと思うほど生活感のないアーケード。ステッキ屋さんに玩具屋さん、カフェや古い切手を売っている店も数軒あったが、人形のパーツを売っている店がめずらしく個性的に映った。
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パッサージュを抜けたところで「Velib」を発見する。
「Velib」は市内に何カ所もステーションがある無人レンタサイクルで、30分以内にどこのステーションでもいいので返せば、繰り返し乗れて一日1ユーロ、150円足らずで借りられるという人気のレンタサイクルなのだそうだ。ただ無人のステーションなので、機械を相手に手続きをしなくちゃいけない。i-phoneで検索をすると「Velib」の借り方が写真付きで手順をわかりやすく書いてあるページに辿りつくのだが、何度やっても借りれなかった。30分粘って結局駄目だったのであきらめてまた南に歩くことにした。
今日は昨日乗れなかったロープン・トゥールバスの赤い路線に乗って周遊するのだ。サンジェルマン・デプレ地区目指して歩いていたが、地下鉄の入り口を見つけたので地下鉄に乗ることにした。私は旅先に出るとそこのバスや電車に乗ったり、地元スーパーで買い物をしたりするのが大好きなのだ。地下鉄は乗り降りをする時、乗客が扉の取手を開けて乗り降りをする。
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椅子はかたくて座り心地が悪い。旅行者なのでものめずらしくてそれらも可愛く見えるが、日本の地下鉄は乗り心地やシステムもすごく進んでいるのだと思った。乗り換え駅も含め駅構内は階段が多く、昔の私だったら地下鉄移動はとてもじゃないが出来なかったと思う。
「odeon」という駅で下車してブラっと散策をする。お昼は「ガレット」の老舗のお店に行きたかったのだが、歩いているうちにお腹が空いてきたので偶然見つけたガレットの店に入る。しかしそれにしてもガイドブックをちっとも役立てられていない。散策をしながらガイドブックの地図を見ているが、どうも自分の場所がわからなくなっているみたいで、ここがどこなのかがわからなくなってしまった。
でもまぁ、こういうプチ失敗みたいなものは気にはならない。別に誰かと約束があるわけでもないので、遠回りをして時間を無駄に使ってしまったというのも休日の場合はOK。ただこのあとはロープン・トゥールバスに乗って、モンパルナスの駅に行く。明後日乗るTGVの指定席の予約を取りに行くのだ。TGVのユーレイルパスはもう持っているが、指定席は別に取らないといけないので、早めに準備をして安心したい。明後日だけは予定がある。ライブがあるのでグルノーブルに13時に着いていないといけないのだ。
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昼食後、バスに乗ってモンパルナス駅に向かう。だが今日はデモ行進があるらしく、予定のルートと違う道をバスは進んでいた。モンパルナスの駅と離れたルートを通っていることを知ってガッカリしたのだが、そのうちにバスもストップしてしまった。お客はみんな下ろされ各自解散でよろしく!ということみたいで、日本だったらお客は怒っているだろうが、ここがどこなのかも教えられないまま運転手さんは笑ってバイバイと手を振っていたので脱力した。この国ではよく電車やバスがストライキで止まったりするらしいので、デモで通行止めになったからおしまいです!ということみたいだった。
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再び地下鉄に乗ってモンパルナス駅へ。
よその国の駅はとてもわかりにくいのだ。それは案内の言葉が何と書いてあるのかがわからないからなのだが、駅自体もここは広かったので指定席を取る為の窓口に辿り着くまで4カ所ぐらいの窓口を回っていた。
あせらない。あせらない。
旅に来たら何でもスムーズには行かないものなのだ。指定席さえ取れればそれでよし。
そう、思っていたのだったが・・・・。
ネットで読んでいたのだがこの指定席を取る時には、時々「ない」と言われて門前払いを受けることがあるらしい。しつこく粘ったらなかったはずの指定席が急に「ある」状況になったり、理由はわからないがともかくそういうことがあるらしいので、当日に指定席を取るのではなく前もって取るのが余裕を持った行動だと書いてあったので、二日前に来てみたのだが・・・・・。
「ボンジュール」
窓口に行き指定席を頼んだら、魔女は冷たく「14日のグルノーブル行きはないわ」とヤル気のない顔で言うのだった。
<本当にないのかしら>
ちょっと疑ってかかる。
魔女が鼻歌を歌っているところがどうもうさんくさい。
<ちょっといじわるで言っていたりしない?>
本当に全然ないのかしら。
すると、一つもないけれど今だったら前の晩の指定席はあるというのだった。
本当に全然ないのなら、当日はグルノーブルに行けないということでそれは困る。だが、では前日に行くとするならグルノーブルで取ってあるホテルの予約を一泊前倒しで追加予約をしなくてはいけないじゃないか。
この場合、先にホテルを押さえてから指定席を取るのが順番として正しいだろう。が、さてこの二つの調整を私はどうやってしたらいいのだろう。日本語だったら整理して説明が出来る。フランス語の「ボンジュール!」と「メルシー!」だけのボキャブラリーだけで一体どうすればいいのか。
取りあえず一旦窓口を後にして、グルノーブルのホテルに電話を掛けてみることにした。
「HELLO」
ハローと言っている。電話は通じたがこのあと何をしゃべればいいのだろう。必死になって「My name is miki yoshikawa」「14th,may.I go to your hotel」「ん〜〜、ヨヤク。シテイマス。」「イン、ホテル!」
よくわからないが伝わっている様子だったので、本題に突入してみた。
「デモ、ソノ、マエノヒニトマレマスカ」「14th,before day,13th」「ソノヒカラ」「アイ、ウォント、泊まりたいです」
ここからは自分でも何を言っているのか、そして相手の人も何を言っているのかがわからなくなった。とても親切に私の話を聞いてくれているのだが、もう知っている単語は全部使った。そして予約が取れなかったら、その時は野宿をしたらいいかと思って最後は指定席を先に取ってしまおうと思ったのだった。
「サンキュー、after,I call,hotel」
気持ち的には、どうもありがとうございました。またあとで電話をしますと言っているのだが、多分伝わってはいないだろう。
電話って切る時に何ていう挨拶をしてから切るのだろう。
ここで急にまた困った。
電話を切ろうと思って、さっきからありがとう、さようならと言っているのだが先方が電話を切らないので私も切れないでいるのだ。
「サンキュー!」
「グッバイ!」
最後は失礼かもしれないがそう言って電話を切った。
しょんぼり。
あ〜あ。
私、もしかしたら野宿することになっちゃうんだわ。
頼みの綱のグルノーブル在住の生方さんと実は連絡がつかなくなっている。魔女が用意出来ると言っていた前日の便は、到着が夜の11時なので、冗談じゃなく初めて行く街で野宿するかもしれない。そう思うと急に悲しくなって涙が出そうになってきた。
そして言葉もしゃべれないのに旅行に来てなんとかなるとなめたことを考えていたことをとっても反省したのだった。
しばらく落ち込む。
よ〜し。
決めた。とりあえずもう前日に行くことにしよう。
そして再び窓口に行ったのだった。
「ボンジュール」
前日の予約を、ではお願いします。
そう言うと・・・・・。
魔女は鼻歌を歌ったあとで「席はもうなくなっちゃったわ」と言うではないか。
お前!それはマジなのか!!
「指定席なら、今日の晩ならあるわ。そうでなかったら明々後日ね」
私が困っているのを知って魔女はずっと薄笑いを浮かべているので、本当は券があるのにいじわるをしているんではないかと言う気がしてきた。
しょうがないのでユーレイルパスを使うのをやめて、クレジットカードを出し「いくらの席でもいいから席を頂戴」と言うと、魔女は鼻歌を歌いながら「列車はいろいろ選べるわよ」と言うではないか。だったら最初から他の選択肢やなんかも教えてくれたってよかったのに。全然席がない!だなんて。あんたフランス語間違っとる!
と、思ったが、なにはともあれようやくグルノーブルに1時過ぎに着く指定席をもらえた。指定席をもらうのに2時間かかった。とっても疲れたのだ。
はぁ〜〜〜あ。
くたびれた。
でも。指定席が取れてこれで一件落着。
割と気を取り直すのも早いのである。
帰りに行ってみたかった高級スーパーに行った。その前にトイレを借りようと老舗百貨店に立ち寄ったのだが、百貨店のマップのどこを見てもトイレのマークがない。もしかしたらパリのデパートにはトイレがないのかもしれないと思っていたが、店員さんに尋ねると道を教えてくれた。
が、ここでも言葉がわからないのでトイレに辿り着けない状況に陥ってしまった。
一人目の店員さんに教えてもらって、行った先は洋服売り場。そこでまた店員さんに教えてもらって道順通りに行ったつもりだったが、次はスタッフ通用口を出て外に出ていた。そこで見つけた休憩中の職員さんにトイレを聞いたら、間違えてここに来たということですごく笑われて恥ずかしかった。
もうこれでトイレに着くと思ったが、そこでもまた迷う。
「トワレット」ってトイレのことではないのかもしれない。もう自分のフランス語が間違っているとしか思えなくなった時、最後に店員さんは「ストレート」と言って真っすぐ先を差してくれた。合計1キロぐらい歩いてようやくトイレに辿り着いた。
そうなの。探していたのよ。ここ!ここ!
トイレに居た人と目が合うと嬉しかった。
今日は次から次へと試される日であった。Velibはその後も見つける度に数カ所でトライをしたがいずれもエラーで終わり、入ったカフェのサンドウィッチはパンもチーズもカサカサだったし、バスを待っていたらそこにはいつまでたってもバスは来なかったし、今何時だろうと思って腕を見ても腕時計を落としたままなので時間がわからない。クタクタに疲れてタクシーでホテルに帰ったら、買ったお土産をレジで受け取るのを忘れて帰ってきたことに気がついた。
私、何でこんなに疲れているんだろう。
特別何も観光をしているわけでもないのに。
今日もムニエルにありつけなかった。夜のセーヌ川クルーズなんて行ける元気もなく8時に就寝した。