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投稿日:2012年12月06日

2012年12月06日

カード会社から封書が届いていた。

この間、行こうと思っている海外旅行の為にキャッシングの額を引き上げておきたいなとネットで申し込んだので、その返事だと思って手にしてみる。

「親展」と書いてはいるが、封筒の厚さがやけに薄い。

申し込みお断りの返事なんだわと開ける前に予感がしたのだ。

だいたい「親展」というハンコが押してある封書は嬉しいものであった記憶があまりない。漢字の雰囲気からすると、”何か特別ないいお知らせ”のイメージがするので「何かしら!」と思ってワクワクしながら開けていた頃もあったが、本当の意味は”本人に開けて欲しい重要な書類”でプライバシーに関わることや、何かの調査書類だったりするのだそうで、棚からぼたもち的なラッキーな物が中に入っているのではないらしい。

封筒を切ると一枚の紙が出てきた。

開けて読んでみると・・・。

「えっ、うそ!」

それは、私のクレジットカードが不正使用をされた形跡があったので、現在利用停止になっているという通知なのだった。連絡を下さいというような文面があって、一番下に24時間対応の電話番号が記してあった。

私が今使っているカードはA社のもので、封書やロゴも確かにA社のものなのだが、以前にもYAHOO bbなる偽の所からのメールが届いたり、AMAZONを名乗る会社からも嘘メールが届いて危うく騙されそうになったので、今回も本当にA社なのかしらとちょっと疑いを持つ。

だが、疑いを持っても私に出来ることはと言えば封書をすかして見たり、中にある手紙をすかして見てみるぐらいしか思いつかない。

だいたい私のクレジットカードが不正使用されるということ自体が嘘っぽい。今まで別に被害にも遭わなかったし、怪しい買い物をしたわけでもないのにそんなことってあるのかしら。

今は夜中の1時。

友人に「ねぇねぇ、どう思う?」と尋ねて電話が出来る時間帯ではないし・・。

胡散臭いが書いてある電話番号に電話をしてみることにした。

プルルル・・・プルルル・・・。

電話が繋がるとA社のクレジットカード担当という男性が出た。

ほら!夜中の1時に出ることが胡散臭い。

<騙されないぞ>

警戒心全開モードで、これこれこんな紙が届いたんですが・・・と話をすると、何やらカチャカチャとパソコンを打ったあと男性は、最近「@@@」というショップや「@@電機」でお買い物をされましたか?と言うのだった。

「いいえ、していません」

男性が言うには、最近被害が出ているやり口で私のクレジットカードを不正使用しようとした誰かが居て、セキュリティシステムでそれらを検知したので今クレジットカードが使えなくなっているということらしい。電化製品を高額に買おうとした誰かがいるとのことだった。

ほ、ほ、本当なの?貴方。

疑っているせいか、この男性の声がますます胡散臭く聞こえる。

あたしゃ、もう騙されませんからね。

「最近、お買い物をしようとして出来なかったことはありませんでしたか?」

男性が占い師のように私のことを聞くのだが、そういえば・・・。

それにはふと思い当たることがあった。つい数日前に友人に贈り物をするのにソニープラザで買い物をしようとしたら、セキュリティロックだとか何とかという単語の入った難しい文章が出て来て、買い物が完了出来ずに終わったのだ。

そのことを伝えると、占い師のように「それは既にクレジットカードをこちらがとめていたからなんです」ともっともらしいことを言うではないか。

あかん、どうもあかん。

私は警戒心全開モードにしても、ふとしたことですぐにすきを作ってしまう傾向にあり、向こうの話術に乗せられてつい最近あった出来事を男の誘導通りに答えてしまった。

「で、カードは今後どうなるんですか」

「新しいカードを再発行することになります」

「はぁ・・」

私としては一番知りたいのは貴方の素性なのだが、もう今持っているカードは使えないらしい。10日ぐらい経つと新しいカードが届くので、これからはそちらを利用して下さいということだった。

「あの、どうして私のカードが不正使用されちゃったんでしょうか」

「最近、海外旅行に行かれましたか」

「最近ではないですけれど・・5月には行きました」

「あぁ、恐らくそれですね」

ちょっと待ちなさい。

今、日本語の使い方が変ではなかったかしら?貴方「最近」って聞きましたよね。「最近」って秋ぐらいのことは「最近」と言ってもいいと思うんですけれど、5月は「最近」じゃないでしょうが。

貴方、胡散臭いわ。

「今回、でも未然に防げてよかったです。」

ほら、いい人のフリをしている。

男性は不正検知が働いた事で、実際の被害に遭うことはまぬがれたと言うのだが、私はそんな貴方が何者かがわからずに疑っておるのです。

「では、10日前後で新しいカードをお送り致しますので」

「は、はい。ありがとございました」

ふぅ〜。

あの男、何者・・・。

夜中は誰にも相談出来ない時刻。

電話を切ったあとで、私はまた「親展」の紙をすかして眺めるしかないのであった。