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投稿日:2013年09月10日

2013年09月10日

8月半ばに熱中症から心筋梗塞を起こし、カテーテル治療中に左心房破裂を起こした父。たまたま私が帰省する日だったので妹と深夜緊急手術の際に病院にいることが出来た。

手術中は、「お父さん、今年はワシは今度こそ死ぬからな」と宣言していたことを振り返りながら、姉妹で死に目に会えてよかったと思う・・・と、語りあっていたが、幸運にも父は命を取り留めた。

それから一週間後、リハビリまで出来るようにまでよくなり、奇跡だと思っていたら、その日の夜に急変して再度心破裂を起こし、更なる開胸手術を受けることになった。

その日は心停止をしたというのに、本当に奇跡のように父はまた命を取り留めたのだった。

病院の先生からは二度も心臓破裂を起こしてまだ生きている人の例がないので、貴重な一例として経過を見させて欲しいと言われたのだそうだ。

父の年齢は85歳。

まだ生きていることにとっても驚いているのは私だ。

もう何があってもおかしくはないと思いながら、先週は呼吸器が外れ、そして今日の妹の話では明日ぐらいに集中治療室から出られるかもしれないということだった。

「お父さん、どんな感じ?」

病院食は普通食でなくムース状になったものを食べているらしい。

だが何故かりんごだけはムースにもならずに普通に切ったものが出ているらしい。

妹は「りんご、むしゃむしゃ食べてはった」と言っていた。

”むしゃむしゃ”という言葉が父をゴリラのようにイメージさせる。

「むしゃむしゃ??」

「そう、むしゃむしゃ食べてはったで」

そして話を更に聞くと、しげおっちの「ワシを中心に世界はまわっとる」性格が戻ってきたらしい。妹や看護師さんにどうもまた我がままを命令したり癇癪を起こしているらしく、「看護師さんから”いつもこうなんですか?”って聞かれたわ」と言っていた。

その「いつもこうなんですか?」の質問が全てを表している。

つい先日までは呼吸器につながれて眠った老人だったので、「いつも」の様子ではなくなっていた。

いつもって・・・それはそれはすごいのです。

接するにはゴリラより大変だと思います。

外でとっても失礼な老人が居たとして、家族が何の注意もしないのを見ると「なんて非常識な家族なの!」と腹を立てていたが、今はあの非常識な家族側にいる。何の注意もせずにいるわけじゃぁないのだ。ただ注意をすると火に油を注ぐとんでもない状況に移行してしまうので、少しでも被害を広げないようにしたいと本当は身をかた〜く小さくして”収まれ〜収まれ〜”と事態の収束をひたすら願っておるのだ。

妹も早速「すみません、ご迷惑をおかけします・・」と頭を下げて帰ってきたらしい。

<頼むから他人様にエラそうに命令するのはやめて、おとうさん。>

私も遠くから念を飛ばす。

集中治療室から出られるところまで元気にしてもらった父なのであった。