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投稿日:2013年10月12日

2013年10月12日

午前中に点滴を一本入れてもらって、今日はおしまい。

今日から三連休なので、病棟も火曜日までは静かなのだ。

私の入院中、父の方も転院したり今後のことを考えないといけない状況は変わらず、任せっきりになっている妹に電話をしてみた。

すると。

しげおっちは昨日急遽リハビリ病院に転院をし、ゾンビのように「ワシ」復活をしているらしいのだった。

「リハビリはせぇへん」

リハビリ病院はリハビリをするためのところだ。

妹が言うには、若いリハビリの先生に対してさんざんごねた挙げ句、「しつこい!」と追い返していたらしい。

「リハビリはいらん。寝てたい」

こんなんじゃいつ追い出されるかわからないわと妹は嘆いていた。病院でも「いつもこんな感じなんですか?」と看護師さんから訊ねられ妹は肩身の狭い思いをしていたらしいが、「ワシ」は生き返っても、ボケても全然懲りていない。それを思えば私はなんてフツーの患者なのだろう。私の反面教師はしげおっちなのである。

今居る病室は割と静かな病室”だった”。

のだが、夕方頃になって足元のベッドの患者さん二人がカーテン越しに世間話を始め・・・。

最初はどこに住んでいるの?といった他愛のない会話だったのが、家族構成に話は移り、嫁の話に孫の話、息子自慢や学歴話とだんだん話は広がって、ついには”旦那さん”の話になっていったのだった。

片方のご婦人がとにかく強烈なのだ。

「あたしはね、数年前に旦那が死んで・・・。」

「あら、そうなの」

「今、すーーっごく自由!!」

「あっはっは」

「あたしの友達はね、みんな早く旦那死なないかなって」

「へぇー」

「待ってんのよ。ほら、殺す訳にいかないからさ」

「・・・・」

片方のご婦人はちょっと抵抗して、そこまで言う友達は居ないけどねぇと返事をしていたが、自由になった方のご婦人は豪快に笑いとばしていた。

「趣味がなくて、ずーっとうちに居るじゃない?」

「うん」

「みーんな、長生きし過ぎなのよ!」

あーーーーっはっはっはっは!

私はずっと息を潜めて聞いていた。

見た感じ、とってもフツーの品のいいご婦人なのだ。

昨日まで何の変わったオーラを出すこともない普通のおばあちゃま。

片方の聞き役のご婦人は、「転んだら半身不随」と先生から説明を受け、外泊は出来ればやめて欲しいと言われつつも、明日の孫の誕生日会に出ると言って外泊届けをゲットしていた。

私は”おばあちゃん”は温厚で穏やかな生き物だと思っていた。

今日、それらは全て勘違いだったことを知ったのだった。