月別アーカイブ : 2010年10月

投稿日:2010年10月21日

2010年10月21日

外来日。
今日は会計窓口が混んでいるのだ。
会計窓口で次回の診察予約票をもらってから、今日は証明書を発行してもらう窓口に並んだ。
ここはいくつか窓口があって、「ここに並んだらいいのかな?」と思って窓口に立つと、「こちらは3番の窓口になりますね」と再度案内を受けて一から並び直すということがある。だが私も失敗を繰り返して、もうだいたいこの用件の場合はあそこに行けばいい、これだったらこっち・・・という風に覚えられてきたのだ。
証明書の窓口は直接カウンターの前で待つ。で、隣りの別の何かの窓口業務はちょっとした柵のところで待つことになっている。
証明書の窓口は今一人カウンターで手続きをしていたので、その後ろにスっと並んだのだが・・・・。
何か視線を感じる。
ちょっと刺すような視線。
私、どこか変なのかしら?
まぁ、いいか。気のせいだわ。
と、ぼんやり立っていたのだった。
しばらくして、証明書の窓口で手続きをしていた前の人が用事を終えて去って行った。
「次の方、どうぞ」
窓口の女性がそう言い終わる前に、人影が私の前を横切った。風がブンと吹いたような威圧感があったのだが、それは隣りの柵のところで待っていたご婦人で、<私の方が先よ!>という明らかに怒った顔で窓口に立ったのだった。
が、すぐその後に娘さんらしき女性がご婦人の腕を掴んだ。
と同時に、カウンターの職員さんも「これはお隣の窓口になりますので・・・」と言ったので、ご婦人も自分の勘違いだと気づいたようだった。
「どうぞ」
窓口に立った時に一瞬振り返ったら、犯罪者が連行されるかのような形で娘さんに引っ張られて元の場所に戻されていた。
いや、私も待つのはいやです。確かに。
順番を抜かされたら腹が立ちますよ。場合によっては思いっきり。
ちょっと気の毒にも思えたが、笑いそうになった。
荒くれものの馬が「ひひぃ〜〜ん!」と暴れたあとで、たずなを引かれてドウドウとおさめられているような、そんな光景の本日の病院窓口なのであった。


投稿日:2010年10月20日

2010年10月20日

ハロウインも終わっていないというのに、もうネットではおせち料理の予約が始まっているのだ。
秋になると一気に日が過ぎるスピードが早くなるというのは、こういうイベントのお知らせものが一気に押し寄せて来るからなのではないかと思うのだ。だって年が明けて一月だと、気が早いと言ってもバレンタインやひな人形の宣伝ぐらいだが、この時期になると「秋の味覚祭り」があり、「もうすぐ紅葉のシーズン到来!」があり、ディズニーは「ハロウィンパーティ」を開催するし、そうすると日本郵便が年賀状のコマーシャルを流し出す。クリスマスイルミネーションも控えているし、「お歳暮は高島屋で」と言っているしで、いろんなものに袖を引っ張られていることに気づくのだ。
栗やサンマが美味しいよと言われ、温泉にかぼちゃのお化けが手を招くし、ボ〜っとしていたら肩を叩かれて年賀状を忘れずにねと念を押される。早く注文したら安くなりますよとお歳暮のお知らせをされ、クリスマスケーキはアイスケーキにする?と聞かれて、おせちもよろしくねと言われたらもう頭の中がわけがわからなくなってくるのである。
それでポストを開けたら開けたでまたいつものように通販の雑誌が入っているのである。
秋はごった煮の季節。
いろいろせかされて「あ〜〜っ、もうわかってるってば」と言いたくなる時がある。
しかし、毎年「おせち」に興味がなかったが、年齢のせいか次のお正月は「おせち料理」で迎えたくなってきた。
おせち料理を「ただの酸っぱいもん祭り」だとしか思えなかった私も、年と共に随分考えが日本式に変わってきたのである。


投稿日:2010年10月19日

2010年10月19日

外科外来日。
今日はドレーンを抜いたところの抜糸をしてもらう。今回は3回目の手術なので既にメスを入れた傷跡があるのを避けたところにメスを入れたので、左胸の輪郭に沿ってグリっと傷がついたのだ。だが胸の輪郭に沿っている分丁度胸に隠れているので傷跡としては目立たない方かなとも思う。
よく先生の前で服を脱ぐのはためらわれるという話を耳にするが、その辺私は思い切りがいい。自分の裸を先生が興味を持って見るということが想像がつかないというか、例え自意識過剰になっても先生は患者を診る時は女性の身体だと思ってドキドキはしない。病院に慣れたらその辺りの自意識もすっかり消えたのだ。
「じゃぁめくって〜」
「はい」
抜糸は麻酔をしたりすることもなく、ハサミでチョキンと縫ってある太い糸を切るだけだ。それで終わり。これで私の体から出ていた洗濯機のホースみたいなものの穴はあとは自然治癒を待つばかりとなった。
次回は外科外来は来月。
痛みはこれからまた少しずつ消えていくのだそうで、これも時間に任せるのがいいのだろう。痛みどめを引き続きもらったが、経過は良好。外科治療はひとまず山を越えてあとは次の治療へ向けて身体を少しでも戻したいところなのだ。


投稿日:2010年10月18日

2010年10月18日

入院をしたり、通院をしたりするようになってから10年になるが、最近謎に思っていることがあるのだ。
それは院内に聞こえて来るアナウンス。
「最近、院内におきまして置き引き等の被害が多く発生しております。貴重品には十分注意し・・・<以下省略>」
最初に入院した三鷹の病院でも聞いた。その後病院をかわってもこのアナウンスは流れ、大塚の病院そして今通院しているお茶の水の病院でも、”最近、置き引きが多いから注意して下さい”と呼びかけている。
で、耳慣れた言葉であるにもかかわらず「最近、多いんだわ」と毎度ハっとしたようにアナウンスを聞き、自分も「注意しよう」と戒めるのだが・・・。
最近、最近って・・・・。
「最近」はどれぐらいの期間?
10年間も「最近」って言っているのは変なのだ。
少なくとも私が聞いたのは10年、なのでもっと前から言い続けられているとしたら、30年ほど「最近」という括りになっていたかもしれない。もしかしたら極端な話、研修医だった人がエラくなって、やがておじいさんになり引退した間、アナウンスはずっと「最近、置き引きの・・・・」と変わらなかったかもしれないのである。
「実は・・・病院始まって以来、置き引き被害が後を絶ちません。」で始まるアナウンスが一回ぐらいあったっていいんじゃないだろうか。あの「最近・・・」で始まるアナウンスはただのフォーマットの文章で、それこそもう録音か何かしてあるのをボタンでポチっと押したら勝手に流れる仕組みになっているのではないだろうか。
要は病院は置き引きの被害がちっともなくならない場所なのだ。盗みに入る人間にとっては、あまっちょろい場所なのだ。
変わらないアナウンスは危機感が薄いとも言える。
「最近・・・」というアナウンスを聞いて、待ち合いのソファに腰をかけた男が胸の中で笑う。
<相変わらずのほほんとしてやがるな>と、一番ホっとしているのは泥棒かもしれないのである。


投稿日:2010年10月17日

2010年10月17日

今年の秋は読書の秋だ。
入院をする当初は、病室でパソコンをどうにかして使える方法はないだろうかとあれこれ方法を考えていたのだったが、ふと「病院に居る間はいっそ思い切ってパソコンのことを忘れてみよう。その間を読書の時間に費やそう」と思ってから、本を読む時間が圧倒的に増えたのだ。
友人おすすめの重松清を数冊、上原隆を数冊読んでから沖方丁の天地明察を読んで、そのあと一冊も読んだことのなかった東野圭吾を一冊読んだら今度は東野圭吾にハマってしまって、この一週間で東野圭吾作品を続けざまに一気に6冊読んでしまった。
私は短編ものかエッセイが好きだったので、まさか今になってミステリー小説にハマるとは思わなかったが、理由は一つコレだというのがある。東野さんの小説は「間取り」好きの私の心をグっと掴んだということなのだ。東野さんの小説に出て来る家の中や別荘の中は、すんごく中の様子が細かく描写されているので、まるで映画を観ているかのような映像になって頭に描ける。かつて私は愛読書が「エイブル」だったこともあって、こういう家の中の様子がよくわかる本にワクワクしてしまう。
殺人事件の犯人や動機などの人間関係よりも、小説の中に出て来る屋敷の中に興奮してしまうみたいなのだ。
やっぱりちょっとどこかズレた読書になっているような気もするが・・・・。
東野圭吾さんのミステリーは面白い。家の間取りやマンションのチラシを見るのが好きだという私と似たようなシュミの人には「回廊亭殺人事件」「十字屋敷のピエロ」「ある閉ざされた雪の山荘で」「仮面山荘殺人事件」をおすすめしたい。
屋敷やペンションの間取りは覚えているが、犯人が誰だったかあまり覚えていない私なのだ。


投稿日:2010年10月16日

2010年10月16日

退院して一週間になる。
入院から退院までが早かったので、この一週間でまたグっと良くなるかなと期待をしたがそうは行かないみたいで、この一週間はあまり変化がなかった。
寝たり起きたりを繰り返して一日が終わる。
ただ、病院生活で寝起きのサイクルが変わったせいか、朝の4時ぐらいに目が覚めてしまうのだ。
<早すぎるなぁ>
<もうちょっと寝よう>
6時半ぐらいになるまで我慢しようと二度寝をしたりして過ごす。
そして夕方の5時には晩ご飯を食べている。夜の7時半ぐらいになると、もう深夜ぐらい夜も更けたような気がしてきて、時にはそのまま寝てしまうこともあるのだった。
そして、また次の日はもっとズレ込んで3時ぐらいに目が覚める。
もうちょっとずつ後ろ倒しに時差ボケを直して行きたいのだが、前倒しにズレて行こうとするので調整がなかなか難しい。
でも早起きは気持ちがいい。
夕焼けは心に語りかけてくる力があり、朝日は一日の太陽の中で最も身体へエネルギーをもらえるそんな気がしている。


投稿日:2010年10月15日

2010年10月15日

「あれ?bioは?」
「昨日食べたから」
食卓での母娘の会話で始まるヨーグルトのコマーシャルがある。
「ビフィズス菌は毎日出て行くの」
「えぇっ?」
だから毎日食べなくちゃだめよということを片方の人間がもう一方の人間に教えるという形のコマーシャルになっているのだが、前からこのCMに違和感があるのだ。
「あれ?朝ご飯は?」
「うん、今日は食べたくないから」
もし食卓でこんな会話がなされるとしたら、朝ご飯を食べないの?と尋ねる側は「母親」だというのが自然な感じがし、その公式をあてはめるとすれば、このヨーグルトのコマーシャルで「あれ?bioは?」と尋ねるのはお母さんであるというのが、私にとっては自然なのだ。
しかし、コマーシャルは違う。
お母さんが食卓に座って「昨日食べたから」と高校生の娘に返事をしているのだ。
そして冷蔵庫の前に立った娘が「毎日、ビフィズス菌は出て行くの」と母に説明をし、母が食卓に座ったまま「え?」と驚いているのだった。
だ、だ、大丈夫ですか。このお母さん。
いくら娘が高校生になろうとも、母は「今日は雨が降るから傘を持っていきなさいよ」と言い、「え〜、ほんとに降るのぉ」と娘が答えているのが一般的な家庭なんじゃないだろうかと思うのだ。「今日はヨーグルト食べた?」と聞かれて「ヨーグルトは昨日食べたから平気!」と、言っている母親って全国的にどれぐらいの割合で居るのか。
コマーシャルの最後に「美味しい〜」と娘に感想を述べている巻き毛のお嬢様風お母さん。「続けてみる?」と娘に言われて「うん」と言って終わるのだが、観終わるとなんだか腑に落ちない。
このお母さん、大丈夫ですか。
爽やかな映像と、爽やかな天然ボケお母さん。お母さんの腸だけがスッキリし、観ている私はいつも「これでいいのか」と胸の中がどんよりしてスッキリしない気分となるのであった。


投稿日:2010年10月14日

2010年10月14日

火曜日以降、午前中のある時間になると近所の幼稚園から運動会の音楽が聞こえてくる。
運動会の練習をしているのだ。
ここに引っ越してきた最初の年は、「今日が運動会なんだわ」と思っていたら次の日もその次の日も、そのまた次の日も運動会ミュージックが鳴り響き、一体どうなっているのかしらと混乱したのだ。練習をする期間が一週間あって、それで本番を迎えるのだと知ってから、この時期は毎年ちょっとした我慢ウィークになっていたのだった。
今年は入院中にその運動会ウィークを終えられたと思っていたのだったが・・・・。読みは一週間はずれて今週が運動会ウィークとなっていたのだった。
運動会の練習なので、先生がマイクを使って本物さながらの案内をしたり、大きな声援を送ったりする。定番の「クシコスポスト」や「天国と地獄」などかけっこ音楽が私の部屋にも届くと、癒されるという方向には行かず私も「よ〜い、ドン!」な心理になって落ち着かないのだ。
おまけに子供の頃から音楽をやっていたせいで、行進曲が流れると「いち、に、いち、に」とリズムを刻んでしまい、そしてそれは「左、右、左、右」という左からはじまるリズム取りになってしまい、本当にくつろげない。
かと思いきや、知らない曲だとこれはこれでただの騒音になる。さわやかな男の人が歌っているポップス風応援歌で、子供たちには馴染みのある曲なのかもしれないが、この曲が繰り返し流れてくると、優勝セールで西武百貨店に行った時に館内でずっと流れていた「ラ〜イオンズ、ラ〜イオンズ」と同じぐらい頭の中を旋回するアクがあって、部屋でこんなに耐えているぐらいだったら見学にでも行って気を紛らわせようかと思ったぐらいなのだ。
家の近くの大きなキンモクセイも、もう花のピークは越えてかすかに香りが残るだけ。
かけっこは早かった。
オーエス、オーエス。
そこに重心を落として踏ん張るより、鉄砲玉みたいに一気に突っ走る方が得意だった。


投稿日:2010年10月13日

退院のご報告

10月に入って、気温も丁度いい感じで過ごしやすい毎日となりましたが、おかわりないですか?
今回の入院手術で、みなさまにたくさんのご心配と励ましをいただき、本当にどうもありがとうございました。手術は先月29日に胸腔鏡手術にて肺と心膜を少し切除し、左側反回神経と共に6センチ程の胸腺腫を取っていただき、4時間程で無事に成功しました。そして合併症などもなくとても順調に回復をして、おかげさまで10日の午後に退院することが出来ました。
手術当日、手術台で仰向けになり麻酔がかかる寸前、何かに守られているようなそんなエネルギーの存在を確かに感じました。目に見えない想いというのは確かにあるんだとあらためて思うこととなりました。
今後は11月の半ば頃から週に5日、外来で放射線治療を4週間受けて年内には治療を終えられそうです。
しばらくは日常生活を送ることをリハビリとして、少しずつまた元の生活に戻っていけたらと思っていますので、ゆっくりになりますが今後もまたどうぞおつきあい下さい!
このあと遡って少しずつ入院から退院までのこともアップしていきますので、また経緯などもスクロールで↓下に遡っていただくとご覧いただけるようにしていきます。
これから深まっていく秋、間に合って嬉しいです。大好きな秋をいつもに増して満喫したいなと思います。あたたかい想いを本当にありがとうございました!
吉川みき


投稿日:2010年10月12日

2010年10月12日

病院までの道中に、気になる中華料理店がある。
前を通るだけで入ったことはなかったので、中華ではなくラーメン屋さんかもしれない。
店の屋根に営業時間が書いてあるのだが、それが「朝11時半ごろから、夜頑張れるまで」とある。
ちなみに看板を見つけたその日、昼12時頃に前を通った時に店は開いていなかった。
大丈夫なのかしら。このお店。
店主としてはシャレをきかせたつもりなのかもしれないが、私はこの看板を見て思ったのは「何をやっても頑張れない、悪い人ではないのだがいつも惜しい店主」だった。
「愛の貧乏脱出大作戦」という番組で、みのもんたに「あんた、このままで本当にいいの」と冷たく言い放たれている店主を想像した。あの番組に出て来るどうしようもない店主達は、店は変われど出て来るタイプがみな同じ。<最初は頑張るのにすぐにヤル気が尽きてしまう>おっちゃんばかりで、イライラしたのだ。
開店時間を「朝11時頃から、夜頑張れるまで」とする店を、看板を見ただけで私は感覚的に「だめだこりゃ」と思ってしまった。
時々、頑張って遅くまでやっていたりするんだろうか。
夜頑張れるまで・・・と言ったって「夜」は相当長い。
気になるが行く気になれないので、恐らく永遠に真相は薮の中なのであった。