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投稿日:2007年09月05日

2007年09月05日

家を空ける準備、荷造り、クーラーの修理、他の仕事をして夜は芝居を観に行った。東京ヴォードヴィルショーの山本ふじこさんは数年前に知り合って、以来公演を観せてもらったり、自分のライブに足を運んでもらったりと、出身が同じ大阪ということもあって気付けばスーっと自分が楽に付き合える存在となった人だ。
「すずなり」という下北にある劇場に初めて行く機会をくれたのもふじこさん。以前私は、演劇は素人には敷居の高い少々難しいものというイメージを持っていたが、最初に観に行った公演で「やっぱり芝居は生がいい!」と、考えが一変したのだ。芝居小屋は、肩の力を抜いて娯楽としてそこに座り、いつも通りの自分の感情をそのまま出していい場所なんだと思わせてくれたのが東京ヴォ−ドヴィルショーの芝居だった。
ふじこさんはよく笑う。よく飲むし、とにかく明るい。そして一緒に居るとその場があったかい大きな居心地のいい空間になる。
母性の人。私から見たふじこさんは一言で言えばこんな人だ。人柄もそうだが、その声自体にまず母性があって、なんとも言えない愛ある声をふじこさんはしている。
どんな話なのか、何の役で出るのか、今日も何も前情報をもらわずに行ってきた。
仕掛けもある。ストーリーには伏線がいくつも仕組まれていて、だいぶ経ってから「あぁ、あの時のあれはこう繋がっていたんだ」と思い出すくだりが出てきたり、かと思えば、多くの説明をせずに観客の感じ方にゆだねる「間」の箇所もある。仕掛けも人が作り出したものすごく計算された仕掛けがあったりで、どんどん引っ張られていったのだ。面白かった。なんだかアっという間だった。
ミュージカルや芝居の舞台は、音楽コンサートと違って、演目が終わると出演者全員がもう一度ステージに戻ってきて、観客に”ご挨拶”をする。まず全員で右側の客席に向かって御礼。左側の客席に御礼。最後に正面を向いて全員で御礼。
この時間が好きだ。
会場とステージ上の全員が笑顔になる一時。
他のお客さんと同じように、私も手をパチパチと叩く。
<今、目が合ったかも>
そんなわけはない。でも、こういう時は自意識過剰気味になって、少しドキドキする。
ステージ上、ふじこさんは今日も笑顔だった。
今日も、ふじこさんはたくさんの愛を放っていた。