藤原美穂ちゃんレコーディング。
「美穂ちゃん」と呼んでいるが、本当は「ちゃん」付けで呼んでいいのかな?と思うほどの大先輩だ。いくつかのユニットでアーティスト活動をしてきた一方でミュージシャンとしてレコーディングやツアーのキャリアも積んで来た。自分の作品も作りながら他人の作品ではリクエストされたことにさらりと答えてしまう、才能あふれる音楽人であるのと同時に私は美穂ちゃんの「七色の声」のファンでもあるのだ。
低いドスのきいた声から、天使のようなエンジェルボイス、ハイトーンボイスに男性の音域まで、歌えない歌はなく、自由自在に歌が歌える様を間近で観ては何度もため息をついたものだ。
こんな風に表現が出来たらきっと歌っていても気持ちいいだろうなぁ。
長いキャリアのある美穂ちゃんだが、実はソロアルバムは今までに出したことがなかったのだそうだ。それで昨年から少しずつレコーディングを進めて、いよいよ最後の一曲を残すことになったそうで、美穂ちゃんのアルバムに作曲とピアノ演奏で参加させてもらうことになったのだった。
まず最初に、曲を書くのは楽しかった。曲を作る時は、自分が歌える範囲での音域を考えて作る。最近は更に音域が狭くなったので、結構狭い選択肢の中で苦戦しているのだが、「もし、こんな風に歌えたらこのメロディにしたいなぁ」と普段思っているメロディを制約なく曲に出来ることはすごくやりがいがあることなのだ。美穂ちゃんだったら安心して音楽をぶつけられる。私にとって美穂ちゃんはそういう人なのだ。
私にとっても久しぶりのレコーディング。原因がわからないで指が上手く動かず、もつれるようになってからは、ピアノの前に座るのに勇気が要ったが、今はその指も元に戻ってくれた。急には上手くなれないけれど、今のベストを録れたらいいなと思って臨んだ。プロデューサー知野氏が来てくれたことも大きい。美穂ちゃんが信頼を寄せている知野くんだ。私もどっぷり預けて自分の今のベストを録ればいい。
春にはこの初の美穂ちゃんのソロアルバムが出来上がるのだそうだ。
今日の作業が全て終わった頃にふと美穂ちゃんが、「今日こんな風に弾いている姿自体がなんだか、信じられない!」と口にした。そうだった。9月の手術日に美穂ちゃんはICUに訪ねてくれて手を握って帰って行ってくれたんだった。
ずっとお休みをしていた自分のインターネットラジオも、また再開したいなと思う。
「美穂ちゃん、ゲストに来てね。」
作品が出来たらたくさんの人に聴いてもらいたい。
美穂ちゃんの想いの詰まったレコーディングも佳境に入り、そこに自分が居られることが幸せだった。