半分衣替えをした。
衣装ケースを開ける時、私はそこにどんな服が入っているのかがあまり思い出せない。衣替えは、半年前に埋めたタイムカプセルを掘り起こすちょっとワクワクする行事なのだ。
蓋を開けると、そこにあるのは前の年に着ていたものばかりで、言ってみればみんな古着なのだが、久しぶりにそれらと会うと新しい気持ちで手に出来る。「一旦片付ける」ということには、きっとリセット効果があるのだろう。
「お、これはお気に入り。今年も着よう」
好みは季節2つ分で少々変わるのか、前年気に入っていたものが、今年になって感覚が変わっていることもある。
「あ、これもよく着たなぁ」
物によっては過去形になる。
くたびれたものは雑巾や動物用のグッズになるので、別の引き出しに入る。
これらの出し入れの際”もう着ないだろうなぁ”と、捨てるものもあるが、毎年ボーダーラインにありいつの間にか数年が経っている”生き残り服”がある。試着したものの一度も外に着ていないもので、何故か「今年は着るかも」と、収納場所が変わっただけで稼働していない服があるのだ。
「なんか、ちょっと若すぎるかなぁ」
「でも、着るかもしれないし・・・」
何を言う。
もう私は若返ることはないのである。そんなものを置いておいても、年月を重ね更に若さと差が開くだけなのに、一体何年この服達をタンスの肥やしにしておくのか。
”せっかく気に入って買ったのだから、一度ぐらいは着たい!”という欲が邪魔をして、こういう時は冷静なジャッジが出来ないのであった。
おやすみ、冬服さん。
冬服達は今からが冬眠の時期となる。
ハロー、夏服さん。
新緑の季節に、彼等は毎年冬眠から目覚めるのである。