今日は日本に帰る日。帰ると言っても実際に到着するのは明日の夕方なので、長~い帰路になりそうなのだ。
飛行機に乗るまで、ここが大事なのでこぼさず行こう!余裕を持って!と、いうことで少し早めにチェックアウトをしてまずは駅まで向かった。
ここまでは大きなトラブルもなくて本当にラッキーだった。まずはドレスデン駅に着いて列車のチケットを買う。チケットを渡された時に、「ここを出て左に行って、左に曲がった所にホームがあるわ」と、今までの旅行で一番親切にホームの場所まで教えてくれたではないか。
2日間しか居なかったが、印象としてドイツ人は日本人の「親切」と似た印象があり、更にそれで似ていると思った。
列車のチケットは乗るつもりだった列車より1時間遅れのものだった。
時間的には乗れたのだが、席がないとかそういう理由だった様子。そしてホームは教えてもらった場所にあったのだが、ホームに上がるエスカレーターがなく、エレベーターはなんと全く別の場所にあったので、ホームにたどり着くまで結局20分ほどかかった。うーん、ヒヤヒヤしてきた。結果1時間遅れの列車でよかったのだ。
旅はこういうことが起きる。
しかし。
ここから先はもう時間のロスは一切出来なくなった。
だってドレスデンで私の乗る予定の列車は11時06分発、そしてプラハ中央駅に着くのは13時27分。プラハ中央駅から30分に1本出ている空港バスは空港までの所要時間が確か30~40分ぐらい。飛行機の搭乗は15時05分から30分まで。
都内の電車移動なら多分大丈夫だが、場所が変わるとわけが違ってくる。
列車に乗ったら景色を楽しむ余裕もすっかりなくなり、プラハ中央駅の空港バス乗り場がどこなのか、チケットの支払い方法の選択肢は何があるのか、あとは空港への正確な所要時間、空港に到着したらどのターミナルに行くのかをiPhoneで調べる時間になってしまったのだった。
もしも飛行機に乗りそびれたら…。
新たに買う飛行機のチケットがまず莫大な出費となる。そして帰国日がズレ、黙って海外に来たことが病院にバレる。いや、それだけでなく血小板が危険レベルに突入してしまうので、チェコの病院を探して急遽輸血を受けることになる。これがまた莫大な出費となり、出費がえらいことになり、そして日本に帰ったら病院ではひんしゅく者としてもう勝手にしたら?ということになるのである。
プラハ中央駅が飛行場に一番近いの?
地図で鉄道と飛行場の関係を確認する。
よしよし。プラハ中央駅で、いいみたい。
間違わないぞ!
と、心の中で叫びながら、プラハ中央駅の一つ手前のプラハなんとか駅で間違えて降りそうになる。一緒に6人掛けの個室で相席だったバックパッカーの女の子が察知をして「ここは、プラハ中央駅じゃないわ」と教えてくれたから助かったものの、危うかったのだ。ううう~。もういっこもミスしたらアカンよ、ほんま。私、頑張りや!
なんとかプラハ中央駅までは来ることが出来た。
次は空港シャトルバス乗り場を目指せ!
列車に乗っている間ずっとプラハ中央駅から空港までの行き方を検索して、だいたい理解したと思う。その勘に従って行ってみたのだが…。
ここ?
ここでいいの?
やや寂れたエリアにバス停がいくつかあるのだが、空港に行くシャトルバス乗り場ですよ!!という分かりやすい案内がない。空港行きと書かれたバス停には空港行きでないバスが停まっていて…。
近くでバス待ちをしている人が居たので聞いてみたら、この空港行きでないバスが出発したら空港行きシャトルバスが来るということだった。いや、それは多分の話。私の英語能力はかなり低レベルになっていて、発する方だけでなく聞き取り能力があかんことになっているため、絶対にここが空港行きシャトルバスの乗り場とは言えない。
13時50分発、空港行き。
所要時間は30~40分。ということは、空港に到着するのがだいたい2時半。うお~~~っ!崖っぷちになってきた。ここでいいのね⁈ここで待っていたら空港に行けるのよね⁈
ところで。
チケット売り場はどこ?
そうなのだ。バス停がいくつかあるのだが、キョロキョロ見回してもチケットを売っている場所が見当たらない。
チケット売り場はどこ。
近くにいた人に聞いたら、二階下のフロアのドレスデンに行くときに鉄道チケットを購入したみどりの窓口みたいな所で購入することを知った。
ダッシュで行かないと、もう間に合わないわ。
チケット、エアポートバス、チケット、ナウ、アイゴートゥ、プリーズ、ハリー、 オ〜!
蒼ざめた顔で精一杯のダッシュでチケットを買い戻ってきたが、体力的にはとってもキツかった。このバスに乗らないとという一心でバス停に間に合うように帰って来たら、少しあとに空港行きシャトルバスがやってきて、無事にバスに乗ることが出来たのだった。
はぁ~っ。これでもう大丈夫だわ。
ホッとしたのだが。
さて、私の降りるところはターミナル1?それともターミナル2?これを間違えたら惜しいところで一発アウトとなってしまう。なんてこと⁈帰り道の余韻など一切なく、スマホでまた検索をすることになったのだった。
そして、ようやく空港に到着。
た、た、助かった~。セーフ!
空港でチェックインが出来たらもう今度こそ大丈夫。今回車椅子サービスをお願いしてあるので、その先にある搭乗口までの手続きや道のりは空港スタッフについてもらえ、間違うことなく飛行機に乗れる。
旅の終わりはこれぐらい慌ただしい方が、感傷に浸ることなく逆に「やったー!」感があってハッピーに帰路につけるのかもしれない。いや、セーフだったからそんなことが言えるのだ。やっぱりこんな崖っぷちなことはしてはいけないと思う。
そして、定刻に飛行機はプラハ空港からドバイへ向けて出発した。
来られて本当によかった。
日本に帰るまであと1日。
元気に帰れたらこんなに素晴らしい旅はない。
飛行機恐怖症で海外旅行なんてとてもじゃないが出来なかった私が、数年前の手術を機に、自分の乗った飛行機が落ちるわけがないという考えに変わった。そして今は自分の身体はきっと元気に成田に帰れるんだと疑うこともなく、そう信じきっているのだった。