ダンボの検査の日。
ダンボは6歳になる手前に胆のうと肝臓が悪いということがわかって以来、病院にお世話になっている。薬をやめられた時もあったが、今はまた朝と晩に薬を飲んでいてそれで日常生活を普通に送ることが出来ている。
しかし、先週の検査の時に心雑音があり、恐らく老化と共に心臓も弱ってきているのでしょうと言われて、それで近いうちに詳しい検査をすることになったのだった。
今日は朝に病院に預けて、それで午後の診察時間にお迎え。ダンボを病院に預けると、日中いつもはいるダンボが居ないということにどうも違和感がある。
洗濯機を回しても・・・。洗濯機がカチっという音を立てて止まったら、離れた場所なのにダンボはその音を聞いて吠える。
「洗濯が終わったよ!」
一応、これは<お洗濯のお手伝い>なのだ。
「お手伝いしてくれたの?!エラいねぇ〜」
と、またオヤツをあげてしまう。
これでダンボはいつしかお洗濯を手伝ってくれるようになり、それがあたりまえになっていた。なので、今日はカチっという洗濯機の止まる音がしても部屋がシ〜ンとしているのが妙に寂しい。
「ポトッ」
私は髪につけたピン止めをよく床に落とす。
するとどこからともなく飛んで来て、そのヘアピンをダンボが拾ってそして私に渡しに来る。
これも床に落ちたものを拾う芸を覚えたことでオヤツが貰えるからなのだが、今日はヘアピンをいつものようにまたポトっと落としても、これまた部屋がシ〜〜ンとしている。
あんな小さな子豚ちゃん犬だが、とても大きい存在なんだなぁとちょこっと居なくなっただけで随分寂しい。
いつか、居なくなっちゃう時が来るんだなぁ。
こんな日が来るんだなぁ。
午後、病院から電話がきてダンボをお迎えに行った。
レントゲンと超音波検査では左心房の弁が少し緩くなっていて血液が逆流しているのがわかったのだそうだ。まだ軽度のものだが、なるべく今後の進行を遅らせるために今から薬を出してもらうことにした。
あと何年かを一緒に暮らすにあたって、なるべくしんどい日やイヤなことを少なく考えてあげたいなと思う。自分なりの考えでこの子の命を、一方は自分にとって大事な宝として、そしてもう一方は一頭の動物としての目線を想像しながら今後の選択をしていけたらいいなぁと思う。
お迎えに行くと、いつも通り<こんなところに連れて来られてすごくイヤだった!>という抗議の顔を向けていたが、本人は至って病気という自覚もなさそうなので、そのことがとても嬉しかった。
ダンボ、帰ろう。お前の大好きなお家にね。
家に帰ったら、部屋の中の空気がまた動き出した。
小さな宝物、ダンボ。
私の家が一番好きなんだって。
ありがとうね。
出来るだけ楽しく一緒の時間を過ごそうね。