先日、怪我をした近所の猫に初めて触ってから黒猫は逃げなくなった。
「元気になった?」
声を掛けるとゆっくり近づいて来て身体を寄せてくる。
4年間触らせてくれなかったのに、急に心を開いてくれたみたいで、あれから毎日私の家の敷地近くで一日を過ごすようになった。
黒猫を撫でていると、斜め前の家のもう一匹のグレーの猫がどこからともなくやってきて「僕も〜!」と現れる。
2匹が私の足元でゴロンと横になってお腹を出すようになったので、急に「近所の猫」以上の愛情が湧いてきた。
外に出ていたら蚊にさされないかしら。
ご飯ちゃんと食べているのかしら。
暑さで具合が悪くならないかしら。
どこに探検に出掛けるわけでもなく一日中、私の家の玄関付近で寝ている。どこにも出掛けないんなら内猫として暮らした方が病気の心配だって少ない。
もう私が飼い主になっちゃおうかしら・・という気分にさえなってくる。
斜め前の家の歴代の猫は、最初は斜め前の家の猫として暮らしているのだが、割といつからか近所の他所の家の猫になっていることが多いのだ。男二人所帯のお家のせいか飼い方は以前からざっくりしているようで、来るもの拒まず去るもの追わずで、猫の入れ替わりに関してもそんなに気にしている風でもなかった。それにしても、だからと言って近所の家が他所の飼い猫を自分家の猫にしちゃうだなんて、そんなことってあるのかしらと思っていたが、気持ちがよぉ〜〜くわかるようになってきた。
2匹は私が仕事から帰って来るとおかえり!と迎えに来てくれる。猫ってこんなに甘えたな動物だったのか。2匹がまとわりついては目の前でゴロンと仰向けになって無防備になっているとそりゃぁ可愛い。
威嚇したり爪をたてることのない温厚な性格。
しかし、人の家の猫をウチの猫にするのはやはり窃盗だと思うのだ。
にゃにゃ。
にゃお。
お前達、なんて可愛いのでしょう。
猫ちゃん2匹の甘い誘惑に私は窃盗犯にならないよう必死で理性に問いかけているのである。