月別アーカイブ : 2013年10月

投稿日:2013年10月26日

2013年10月26日

少し前に都内某ガソリンスタンドでガソリンを入れたのだが・・・。

帰ってから領収書を見て納得が行かないのだ。

ガソリンのレギュラーが1L、175円となっていた。レギュラーガソリンでそんなに高い所は見たことがない。今都内では安いところで145円ぐらい、多く見かけるのが155円前後。すごく高い店だなと思ったとしても165円ぐらいで、175円と言ったらハイオクの値段に相当するのだ。

ガソリンの赤ランプがついたので、早めに入れておこうと思ったことから走っていて最初に見つかったところに入ったのがそもそもの始まり。

「ガソリン、レギュラー満タンでお願いします」

よかった・・・。

ちょこっと道を間違えて永田町の辺りから通ったことのない道に私は紛れ込んでしまっていたのだった。ガソリンを入れてもらってそれでついでに道も教えてもらおう。

店の看板にはそう言えば、値段を表記するものが出ていなかった。

うちの近所でも値段表記がない店があるが、そこは確かに高い店であった。

「ガソリンの燃焼材、入れてます?」

店の爺さんが言った。

「え?知らないです」

「入れておいた方がいいですよ。一度も入れていないみたいだから」

よくわからないが、入れないと困ったことになるような話し振りだったので、入れてもらうことにした。

今から思うとアレも本当に親身になって言ってくれたのかどうかはわからない。

レシートには確かにレギュラーと書いてある。

あの爺さんの顔が、なんだか水戸黄門に出てくる悪代官の顔に被ってきた。

レギュラーガソリンのリッター175円は高いと思う。

もしかして日本一高い店で入れてしまったか。

ランチで1800円使っても「たまにはいいわね」と思える私。

しかしガソリンはいつもリッター154円で入れているのが175円になると、ものすごく損をした気分になる。

「たまにはいいわね」とは思えない。

あれからず〜〜っと。

ガソリンスタンドの前を通る度に値段チェックをしては、騙された気分が続いている。


投稿日:2013年10月25日

2013年10月25日

今日から仕事復帰。

国立音楽院にて講師をさせてもらっているので、生徒さん達にまた会えるのが嬉しい。
お休みをした時間を待っていてもらったのだから、その分自分の中にある音楽の引き出しを目一杯使ってほんの少しでも返していけたらなぁと思う。

と、思って出掛けたのに、またもや生徒さん達からサプライズプレゼントを頂いてしまった。

教室に入ると、ピアノの演奏と共にみんなが振り付けつきで「世界に一つだけの花」を歌ってくれて迎えてくれた。

くぅううううう。

”近頃の私は全然泣かなくなったわ”と、ここ数年は豪語していたのに、今回の入院ではなんだかよく涙がポロポロこぼれたような気がする。

また戻れて嬉しい。

だからこそよりシンプルになって、目の前の課題を一緒になって越えていける先生になりたい。

今日からまたよろしくお願いします。

初心に返ってもう一度頑張りたい。

頑張れるって素晴らしい。

作文みたいな文章だが、これでよし。

人生は続く。

それまでの流れとはまた道が変わっても。

なんとかなるさ、精神で行こう。

なるべく笑顔の日を多くしたい。それが私の人生の目標だ。


投稿日:2013年10月21日

2013年10月21日

退院してから初めての外来日。

採血の結果は、ヘモグロビンが10.8。血小板、白血球、網赤血球共に増えていて造血機能がしっかり働いているとのことでホっとした。

この一年は輸血を受けてヘモグロビン値が7〜8台がキープ出来ていたので、2桁の数値が嘘みたいだ。

1週間から10日に一度、輸血を受けに通っていたのも、もしかしたらこのまま輸血から離脱出来るかもしれない。

たくさんの方の善意の献血でつないでもらった命。

元気になれたら何でも出来る。

次の外来日は来月の11日。

3週間も間があくだなんてすごいのだ。


投稿日:2013年10月18日

2013年10月18日

退院して三日が経った。

やっぱり家はいいなぁ。

今年はキンモクセイの匂いがまだして来ない。

もう時期が終わってしまったのか、それとも今年は遅れているのか。

近所の猫のトラとサブローに久しぶりに会った。

トラは特に警戒心が強い。

忘れられちゃったかもしれないなぁと思ったが、ちゃんと覚えてくれたみたいだ。

少し空気が冷たくなって、日の高さが変わったことだけが入院前と変わったところだ。


投稿日:2013年10月15日

2013年10月15日

退院日。

同じお部屋の患者さんに「いいわね〜、退院」と羨ましがられている。

「私も退院したいわー」

「私も急に決まったんで、昨日まではそんな気配がなくても急に決まりますよ」

足元のベッドの患者さんは、先生が来た時に真面目に「明日退院したいんですよ〜。」と話していた。

「だってね、明後日ドーム。クライマックスシリーズだたら行かなくちゃいけないのよ」

冗談でなく、本気で頼んでいて先生もタジタジだった。

<アタシは病人じゃないの。>

強い意志で案外病気は退散していくものなのかもしれない。

今回の入院では本をたくさん読むことが出来た。外に出られないかわりに外の風を運んでくれたのが本だったし、あとは今までは頭ではわかっていたもののなかなか実際にはそうは思えていなかった<なるようにしかならないことは、なるようにしかならないんだ>という言葉にようやく足を止められたような気がする。

なるようにしかならないことは、なるようにしかならない。

でも、必ずなるようにはなるんだ。

山から湧き出た水は川となり、途中に行く手を阻むものがあれば流れを変え、どんなに時間をかけてもそれは海に向かって進んでいく。そうしていつか海にたどり着く。

今回の入院でいろいろ考えることがあったけれど。

最初は崖から落ちたような気分でいっぱいだったけれど。

もう一度元気にしてもらえたのだから。

今は明るい方向を向いている。

一つ一つ、問題があればクリアしていこう。焦らずに。

なんとかなるさ。

今はその言葉をようやく少し、身につけられた気がする。

エラく再会を喜んでくれたダンボと、また幸せな暮らしをやり直そう。


投稿日:2013年10月14日

2013年10月14日

朝、先生が採血に来た。

毎日のような針刺しも今日で一旦終わるのかと思うと、嬉しくなる。

何度も輸血や採血、点滴で腕に針を刺したことでもうすんなり刺せる場所がなくなってきていて、今日は採血も1回では済まずに3回目でようやく採ってもらえた。

いいの、いいの。

だってもう今日が最後だから。

普段2回失敗した時点でかなりガッカリオーラがにじみ出てしまう私も、今日に限ってはなんだか頑張れる。

採血が終わり、今日は残すところあと輸血を受けるだけとなった。

あと一回針を刺せばもう痛いのともおさらば出来るんだわ。

頑張れる。今日だったら頑張れる。

機嫌もすこぶるいい。

お昼前になって採血の結果を先生が教えに来てくれた。

治療の効果が出始めて、自力で血液の赤ちゃんを作っていることと、血小板も私の身体はまた作ることが出来るようになったようで、血小板の数値は4ヶ月振りに正常値の値に戻ったのだそうだ。

このあと、輸血を受ける針刺しは今までにない程の5回の刺し直しになったが、それもよし。

4時間程の輸血を終えたら、針を抜いてもらって久しぶりに病院の玄関まで行ってみた。

少し肌寒くなった空気を吸って、日が沈む御茶の水の空を見上げたら、うんと気持ちよかった。

それは、15階の病室から見える空よりも近く感じた空だった。


投稿日:2013年10月13日

2013年10月13日

日曜日。

一昨日ぐらいから、身体の中の風が入れ替わったように日に日に体調が軽くなっている。今日で点滴治療は終わり。明日輸血を受けたら身体に刺さっていた針も抜けて自由の身になれるので、それが今は待ち遠しいのだ。

身体に入っている点滴の針というのは縫い針のような金属でなく、柔らかいプラスチック素材なので腕は普通に使っても問題がないのだが、なんとなく”針が刺さっている”というイメージだけで違和感もあるし、自由に使えるというところまでいかない。何年お世話になっても未だに慣れないことの一つなのだ。

夕方、授業をさせてもらっている学校の生徒さんがお見舞いに来て下さった。

生徒さんたちからの寄せ書きをいただく。

一人一人、それぞれの文字。

想いはあったかくそれそのものが大きな力を持つのだとまた感じる。

ある日を境に、換気をしたように体調が上向きになった今回の入院治療は、やっぱり人の想いによってすくいあげられた感じがしてならない。

早くみんなに会いたいなぁ。

11月からの復職を目指していたが、10月最終週から授業を再開出来たらいいなぁ。

少し前までは見えなかった世界がまた一つ、輪郭を見せてくれるようになった。


投稿日:2013年10月12日

2013年10月12日

午前中に点滴を一本入れてもらって、今日はおしまい。

今日から三連休なので、病棟も火曜日までは静かなのだ。

私の入院中、父の方も転院したり今後のことを考えないといけない状況は変わらず、任せっきりになっている妹に電話をしてみた。

すると。

しげおっちは昨日急遽リハビリ病院に転院をし、ゾンビのように「ワシ」復活をしているらしいのだった。

「リハビリはせぇへん」

リハビリ病院はリハビリをするためのところだ。

妹が言うには、若いリハビリの先生に対してさんざんごねた挙げ句、「しつこい!」と追い返していたらしい。

「リハビリはいらん。寝てたい」

こんなんじゃいつ追い出されるかわからないわと妹は嘆いていた。病院でも「いつもこんな感じなんですか?」と看護師さんから訊ねられ妹は肩身の狭い思いをしていたらしいが、「ワシ」は生き返っても、ボケても全然懲りていない。それを思えば私はなんてフツーの患者なのだろう。私の反面教師はしげおっちなのである。

今居る病室は割と静かな病室”だった”。

のだが、夕方頃になって足元のベッドの患者さん二人がカーテン越しに世間話を始め・・・。

最初はどこに住んでいるの?といった他愛のない会話だったのが、家族構成に話は移り、嫁の話に孫の話、息子自慢や学歴話とだんだん話は広がって、ついには”旦那さん”の話になっていったのだった。

片方のご婦人がとにかく強烈なのだ。

「あたしはね、数年前に旦那が死んで・・・。」

「あら、そうなの」

「今、すーーっごく自由!!」

「あっはっは」

「あたしの友達はね、みんな早く旦那死なないかなって」

「へぇー」

「待ってんのよ。ほら、殺す訳にいかないからさ」

「・・・・」

片方のご婦人はちょっと抵抗して、そこまで言う友達は居ないけどねぇと返事をしていたが、自由になった方のご婦人は豪快に笑いとばしていた。

「趣味がなくて、ずーっとうちに居るじゃない?」

「うん」

「みーんな、長生きし過ぎなのよ!」

あーーーーっはっはっはっは!

私はずっと息を潜めて聞いていた。

見た感じ、とってもフツーの品のいいご婦人なのだ。

昨日まで何の変わったオーラを出すこともない普通のおばあちゃま。

片方の聞き役のご婦人は、「転んだら半身不随」と先生から説明を受け、外泊は出来ればやめて欲しいと言われつつも、明日の孫の誕生日会に出ると言って外泊届けをゲットしていた。

私は”おばあちゃん”は温厚で穏やかな生き物だと思っていた。

今日、それらは全て勘違いだったことを知ったのだった。


投稿日:2013年10月11日

2013年10月11日

退院にむけて昨日から血糖値測定を自分でする練習をしている。今日はインスリンの打ち方を習う予定だ。

今朝の血糖は123。

ステロイドの量が減ったらインスリンも必要なくなるといいなぁ。

薬による副作用の治療も今は課題になってきている。

まぁ、しょうがないか。

お昼前、担当の先生が採血の結果を持って来てくれた。

するとこの一年、ずっと上がらなかった網赤血球数の数値が上がっていて、それから血小板数も11万まで増えていた。血小板は輸血を受けて9日に7台にまで上げてもらったが、その後は維持出来たらいいなぁぐらいに思っていたので、この結果には先生も驚いていたぐらいだ。

治療の効果が出るのは数ヶ月後ということだったので、一時的な何かの変化なだけかもしれないが、それでも自分の身体が作るのをやめてしまった血液の赤ちゃんと血小板をまた作り出したということが何より嬉しかった。

一昨日までのグッタリした身体から何かが入れ替わっている感覚は確かにある。

今回の入院でまたとても感じたのは、入院治療に際してたくさんの方から「想い」をいただいたことが、見えない大きな力を呼んでくれたという感覚だ。そんな気がする、というよりももっと確信的な感じがする。それ以外にないんじゃぁないかと私の中に起こっている奇跡がそう言っているのだ。

今回もまた私は生かしてもらった。

この感謝の気持ちを忘れないよう、そして退院してからの日々で何か還元出来ることを見つけたい。


投稿日:2013年10月10日

2013年10月10日

家系的には糖尿病になる予定はなかったのだが、ステロイド糖尿病で血糖値が高く、退院後もインスリン治療をすることになった。

そんなことが決まったと思ったら、午後になって看護師さんが血糖測定器を持ってベッドにやってきたのだった。

iphoneを入手した時のようなちょっとしたこの「新しいメカセット」が、今日から私の物になるらしい。

器械の使い方を教えてもらう。

ポーチが大好きなのだが、この新しいポーチは複雑な気分。インスリンを打っている友人が同じのを持っていたなぁと思い出す。

午前中は薬の影響で少しむかつきがあるが、午後は楽になる。昼前に先生の方から今回の入院治療は終わりが見えてきたので、日曜日に点滴治療を終えたら月曜日に採血をして、必要に応じて輸血をしたら火曜日に退院しましょうかと具体的な話があった。

入院したばかりの頃は、だ〜れも「退院」という言葉を口にしない。「退院日の目処」さえ話に出ないのだが、大部屋に移ったらもう退院がすぐという風に急に決まってくる。病院生活は今どこもこんな感じだと思う。身体が入院患者モードになっているので、退院に向けて心身共に準備を始めなくては。

お昼ご飯が終わったら歯学部病棟にある理容室に行った。本当は病棟を離れるのに許可をもらわないといけないのだが、理容室はダメと言われる可能性が高かったので、内緒で出掛けてみた。1時間半ほど病室に居なかったが、幸い教授回診の時にはベッドに戻っていたので、私の冒険に誰も気づいていない。あれ、髪変わりました?とも言われていない。

やっぱり冒険は楽しいのだ。

今居る大部屋は4人部屋。私が一番若く3人はちょうどお姑さんぐらいの年齢のご婦人方だ。

大部屋は同室の患者さんが、先生からシビアな話をされているのも漏れてくる。

「今の状態では転んだら半身不随になってしまいます」

聞こえてくるので胸を痛めていたのだが、先生が居なくなったらこの患者さん、「転んだら半身不随なんだってー。先生ってちょっと大げさに言うもんだから、あれだわよね」と笑い飛ばしていて、大事に過ごすどころか週末は孫の誕生日だから絶対に家に帰ると宣言していた。ベッドにも全然居ない。退屈で院内をブラブラしているので時々看護師さんに怒られている。

見た目普通のおばあちゃんなのだがガッツが違う。

豪快な姑さん、私はまだまだなのだ。