朝、先生が採血に来た。
毎日のような針刺しも今日で一旦終わるのかと思うと、嬉しくなる。
何度も輸血や採血、点滴で腕に針を刺したことでもうすんなり刺せる場所がなくなってきていて、今日は採血も1回では済まずに3回目でようやく採ってもらえた。
いいの、いいの。
だってもう今日が最後だから。
普段2回失敗した時点でかなりガッカリオーラがにじみ出てしまう私も、今日に限ってはなんだか頑張れる。
採血が終わり、今日は残すところあと輸血を受けるだけとなった。
あと一回針を刺せばもう痛いのともおさらば出来るんだわ。
頑張れる。今日だったら頑張れる。
機嫌もすこぶるいい。
お昼前になって採血の結果を先生が教えに来てくれた。
治療の効果が出始めて、自力で血液の赤ちゃんを作っていることと、血小板も私の身体はまた作ることが出来るようになったようで、血小板の数値は4ヶ月振りに正常値の値に戻ったのだそうだ。
このあと、輸血を受ける針刺しは今までにない程の5回の刺し直しになったが、それもよし。
4時間程の輸血を終えたら、針を抜いてもらって久しぶりに病院の玄関まで行ってみた。
少し肌寒くなった空気を吸って、日が沈む御茶の水の空を見上げたら、うんと気持ちよかった。
それは、15階の病室から見える空よりも近く感じた空だった。