投稿日:2011年09月01日

2011年09月01日

地下鉄の駅から家に帰るタクシーの中で。
運転手さんとなにげない会話をしていて、ふと運転手さんに「お客さん、声優さんっぽい声ですね」と言われた。
たまにそう言われることがある。なので、「そうですか?たまに言われることはあります」と、そんな返事をしたのだが、会話はそこから運転手さんのことへと繋がっていった。
「いやぁ、わたしはね、実は歌をやっているんですよ」
どうも運転手さんは、自分の話に持っていきたかったらしい。
「はぁ」
そして家に着くまでのあと数分というところで始まった話は、そこから一気にまくしたてるように運転手さんの「わたしの話」になり、そして家に着いた時はリサイタルのチラシを渡され、連絡先までもらうことになっていたのだった。
「よかったら是非、観に来て下さい」
「は、はぁ。」
この運転手さんはタクシーにこうしてリサイタルのチラシを乗せていて、自分のリサイタルの話が出来てチラシを渡せるお客がいれば・・と宣伝の機会を狙っているのだろう。
タクシーを降りてからうなだれた。
私も近々ライブを控えているというのに、運ちゃんの方がよっぽど押しが強く私は「わたしの話」を一つも出来ないばかりか宣伝を一つも出来なかった。
今日のタクシーの売り上げより、宣伝カーとして走っているのならそれはそれですごいのだ。
広告タクシーは行く。
次の宣伝相手を見つけに夜の闇へと消えて行ったのであった。


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