朝。
夕べはいろいろ心細くなってしまったが、目が覚めたらなんだかリセットされていた。
素晴らしい。眠くなって寝ただけなのに。
また朝ごはんを楽しみに待つ家畜モードに戻っていた。
これでいいのだ!
病気のことは先生がなんとかしてくれる。お任せをして…あと私は…
移動売店で買ったクロスワードパズル本を頑張って解こう。
日曜日も土曜日と同じく病棟は、検査もなく静かだ。午後になると同じ部屋の患者さんそれぞれにポツリポツリと面会に家族が訪ねて来て、病室の中が温まる感じがいいなと思う。
私も入院直後に大阪に住む妹に、一応入院したというメールを送ったのだが妹からのメールは一言「お父さんには?」の一行だけであった。父に入院のことは話した方がいいの?ということなんだろうが、昔から妹はその行動や言動を箇条書きにしたら「なんて冷たいの」と言われそうなキャラで、父や母からも冷たいと言われていた。
だが今思えば吉川家は全員変わりもんではなかったか。電話を掛けたら「今、テレビみとんねん!」と言って電話を切る父にしてこの娘あり、なのである。
明日からまた検査がはじまる。
研修医の先生が丁寧に接してくれるのが、胸にあったかい灯をともしてくれている。
いつ休んでいるのかなあ。
入院をしてから顔を合わせない日がない。
誠実な人に会うと救われる。
それが幾つの人であっても。
矛盾の多い社会。だがそれでも崩壊しないのは、誠実な人がどこかで支えとなって砦となっているからなのだ。