バス通りに面した場所に、今年のいつぐらいだったかに二軒の新築の家が建った。
白い二階建ての同じような形をした家。前は何が建っていたのか知らないが、一軒分の敷地だったところに二軒建てたような造りで、若い3人家族が住むのが似合いそうなイメージの家だ。
一軒は割と早くに「売約済み」の札が掛けられ、「家ってそんなに早くに買い手が見つかるものなんだ・・・」と驚いていたが、どういう理由かそれからしばらくすると二軒共がまた売り出し中に戻っていたのだった。
それ以来、ここを通る度に「どうなったのかしら」とその後の売れ行きを気にするようになった。
不動産会社の社員さんらしき若い男性が、たいがいは椅子を出して座っている。バス通りをずっと来て、生身の人間が座っている所はここしかないので割と目立つ。
”まだ、売れていないんだわ”
前を通って売れていないと、こっちもちょっとガッカリする。
ここら辺に住んでいる人達で、一緒になって胸を痛めている人は数人はいるんじゃないか。少なくとも”売れたかどうか”を気にしている人はいるだろう。
内見にお客さんがやってきたと思われる時に、前を通ることもある。
”お客が来てる!”
だがこんな時は目を合わさず、あたかもそこに人なんて居ませんよといった風に通り過ぎる。
応援するがあまりの無視である。だって、あまりジロジロ視線を送って”この辺りってなんとなく、イヤな感じがするわ”と、お客の奥さんの方に言われでもしたらどうする。私らが足を引っ張っちゃいけないのである。
今日も前を通った時に目をやった。
あっ。
え、えーー?
二軒の家に、運動会の時に吊してありそうな世界の国旗がズラっとかかっていたのだった。
なんで国旗。
世界の旗に囲まれると、家って一気に素敵じゃなくなる。それどころか、どこか恥ずかしい感じになる。
売り出し中の新築の家は、運動会の本部テントになった。
”そういうことじゃないと思う!”
心ん中で叫んで通り過ぎた。
社員さんが座っていたが、体育の先生に見えてしょうがなかった。
これじゃ、売れないよ。
はがゆさ半分、また胸は痛む。
男性社員はなかなか会えない彼女に、仕事のグチを言ったりもしているんだろう。
「毎日、オレ現地一人っきりなんだぜ」
「仕事、マジきっついわー」
ふんふんと聞いてはいるが、彼女の方は忙し過ぎる彼氏を本当はちょっと見捨て始めていたりする。
キミは気づいていないだろうが・・・
ちっとも一人じゃない。
”早く売れるといいよね”
キミの彼女よりよっぽど親身に、周りの住人は心配し見守っているのである。
扉の写真がかわりましたね!
こんばんは。
仕事をしなくちゃ生きていけないけど、
できる事ならこんなのけっちらかして彼女といたい。
遊びに行きたいぜーーーっ!
お。平日なのになんでカップルで物件見にこれるんだ?
いいよなあ…。いらっしゃいませ!なんでもいいから早く買ってくれ!
あぁ、おれ、なにやってるんだろうなあ…。
彼の心のつぶやきを脚色してみました(笑
物件は売れなくてもいいから、彼女にはフラレてほしくはないですね。
はい!写真、かわりました^^物件はまだ売れていないようです・・応援してるんですけどね〜^^;私が買いますか(笑)
ちなみに彼氏の仕事が忙しくなった時が恋人間の危機!なのだそうです。オーノー!!