プラハ2日目。
朝起きたらツアー会社からメールが届いていた。18時10分に迎えに行くというのはやはり間違い。10時半に迎えに行きますとのことで、急遽バスツアーに出かけることになった。
とは言ってもホテルのお迎えはバスが来てくれたのではない。お兄さんが歩いて来て、お兄さんについて待ち合わせの場所まで歩くという流れだった。お兄さんの早足について行けない。スタスタ歩けないからバスツアーを選んだのだ。バスで迎えに来て欲しかったのだ。
バスは11時に広場にやって来た。私を含めた何人かが最後のお客だったみたいで、私達が乗るとバスは丁度満席となった。
プラハの街はこじんまりしているらしい。この約2時間のバスツアーでひと通りプラハの見所はまわれるのだそうだ。ガイドブックに載っている場所を次々に通っていく。
その後緩いくねった坂道を上ってプラハ城に到着をしたらそこから40分は自由時間ということで、フリータイムとなった。
広場でぼんやりしていると。
ザッザッザッザッ。
プラハ城の衛兵さん達の交代時間なのか、列になって歩いて敷地内に入って行くところに居合わせることが出来た。ブラスバンドの音楽の後、儀式が丁度行なわれているのを見られて嬉しかったのだ。
プラハ城は小高い丘の上に建っている。街を見下ろすとレンガ色の屋根が続いていて、だけど遠くの方には高層ビルがポツポツ見えて、あぁ、中世ではないんだなと現実に戻る。
バスツアーを終えて旧市街から、カレル橋を目指して歩くことにした。
iPhone のおかげで道に迷ってもすぐに修正が出来る。ヴァルタバ川沿いに歩いてカレル橋に到着して場所を確認したので行ってみたかったカフェレストランを探してしばらく歩く。
普段の私は特にグルメでもないので、不味くさえなければまぁよし、というレベルなのだがフランス、イタリアに行った際はフラッと入った店が、共に信じられないほど高くて不味かったので、今回はガイドブックとトリップアドバイザーの評価を参考にすることにしたのだ。
いつも満席と言われているカフェスラヴィア。ココを目指してチビチビ歩いては休憩し、またチビチビ歩いては休憩し。お目当てのそのお店を見つけたら丁度窓際の席が空いていたので、ラッキーだった。
そこでキウイジュースと素揚げした野菜が周りに添えられたポテトグラタン風の物を注文。するとそれがとっても美味しかった。出来ればケーキまで食べたかったがお腹が一杯になってしまったのでモカを頂いて日が暮れていく景色をボーっとしながら眺めて過ごした。
日がすっかり暮れた5時、店を出たらカレル橋を渡ってみた。橋の欄干にはそれぞれ15体ずつ、合計30体の彫刻がある。途中で引き返してトラムに乗ろうと思ったが、あまりに景色が綺麗なので向こう側に渡ってトラムに乗ることにしたのだった。
行きの飛行機の座席の前ポケットに忘れて来た地図やトラム路線図がないのは痛いのだ。iPhoneのページを行き来しながら多分これだろうという番号のトラムに乗ったのだが…。
どうも間違えてしまったらしい。
どんどん帰りの方向から離れて行っているなぁと確信してからは取り敢えず降りてみたのだが…。
ここから何に乗っていいのか、ますますわからなくなってきた。
周りに店も何もない暗い通り。これってちょっとした山道ではないの。
寒いし暗いし…。
とにかくアレに乗ろう。
次にやって来たトラムに乗ることにした。iPhoneの「現在地」がちょっとずつ動いて行く。アナウンスがチェコ語のみなのでまたこれがよくわからず、もたもたしているうちに「現在地」は宿泊しているホテルからどんどん遠ざかって行ったのだった。
誰か。
ヘルプミー。
さっき停留所で一緒にこのトラムに乗り込んだ若い女性に思い切って地図を指差しながら「ここに行きたいんですが」と尋ねてみた。
女性はとても綺麗で、だがどちらかと言うとクールな印象、しまった。尋ねる相手を間違えてしまったかと一瞬後悔をする。彼女は返事をしてくれたがこれがまた流暢なチェコ語で全くさっぱりわからなかった。
あー。
えー。
うーん。
アイ。
チェコ語がわからないと顔で伝えるしかなくなっていると、近くに座っていた年配の女性が彼女に話しかけてしばらく会話をしたあとで、今度は多分なのだが英語で「いいわ、あなたをパラディウムまで案内するわ」と言ってくれたのだった。
えええ〜〜〜っ。うっそぉ〜〜〜ん。
私の英訳は正しいのかしら。
どうなの。
連れて行ってもらえるの?私。
それとも乗り継ぎの空港で航空会社のクルーについて行ったような、あんな間違いをまたするのでしょうか。
iPhone地図でそこから急に猛勉強をする。
今いる居場所はここらへん。
で、次を曲がらなければこっちに行くのか。
てことは、ここがなんとかっていう停留所で、ここには地下鉄の駅がある!
ビンゴ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!
バスの中には英語表記は一つもなかった。
アナウンスも英語でのアナウンスはない。
でも、私、帰れそう!
そして彼女は私に合図をくれて終点で一緒にトラムを降りた。で、多分「ここからサブウェイに乗るの」という説明してくれて、そしてチケットの刻印の仕方を教えてくれて、一緒に地下鉄のホームに立っていてくれたのだった。
チケットの刻印の仕方、そうか。こっち側を差し込むんだったのか。
バスの時には間違えていたこともわかる。
ホームに並んで立って電車を待つ頃には不思議と親しみがわいていた。
「ねぇ、あなたはどこから来たの? 」
「日本からなんですよ。」
彼女の方もそんな風に居てくれた感じがした。
「この国は気に入った? 」
「ええ、とても!景色が綺麗!」
いや、本当は貴女のような親切な人で出会えたことが何よりプラハの旅を特別にしてくれたんですと本当は言いたかった。言葉なんて話せなくてもいいと思って旅に来たが、やっぱり言葉は大事だとしみじみ思った。クールビューティーの彼女はいつの間によく笑う可愛い女の子になっていた。
彼女は恐らくこっちに来てまだ2ヶ月。私のヒアリングが正しければどこかから引っ越して来たばかりということだった。
ポツポツと会話をしながら、まるで友達のようにそこに一緒に居た感じがした。
地下鉄で3駅。もう私もわかる。彼女は丁度同じ場所に行くから案内をしてくれたんだろうか。本当はそうでなかったかもしれない。だけどそのレベルの話が自分には出来ない。とにかく優しい気持ちをもらって、それでなんとか駅に着く前にとアプリでダウンロードしたチェコ語でありがとうを意味するDikyを指差して見せたら、また笑ってくれた。
駅を出て、「ありがとう、もうここまで来たらわかりました!」と伝えると「じゃあ、私はこの店に行くからここでね!」とそこで別れることになった。さっき、カレル橋の近くで買ったラベンダーのサシェを別れ際に渡したら最後にまたとてもキュートな笑顔で受け取ってくれた。
やっぱり私は「優しい人」が大好きだ。
優しい心をもらうと、自分の中にあった石ころみたいなものが溶けて行く。自分では気づけなかった石ころみたいに硬くなっていたものが消えて行くのだ。
国を越えて優しさは共通するんだなぁ。
とっても素敵な出会いだった。
プラハは今日でお別れ。
輸血の兼ね合いで、ヨーロッパ旅行にしては駆け足の旅だが、訪ねてよかった。
たった2日しか滞在出来なかったが、心に残る大好きな街になった。
「自分の中にあった石ころみたいなものが溶けて行く」
その通りですね!!!!!
すてきな人と出逢えましたね!
旅日記…ハラハラするけど、とっても楽しいです(*^^*)
無事でよかったですね。
それにしても波瀾万丈な旅ですね!
こわいこわい。
メッセージ、ありがとうございます☆
言葉が思っていた以上に通じなくて焦りましたが、なんとか大きな失敗もなく?楽しい旅の思い出となりました^^: