母方の祖母の家が練馬区にあったので、夏休みは母と妹と3人で東京のおばあちゃんの家に行くという期間があった。
東京駅に着くとオレンジや黄色、黄緑の電車が沢山行き来していた。線路のすぐそばに家やビルが建っていて、それが都心を離れてもずっと続く。自分の馴染みある風景との違いを一番感じたのが電車に乗った時のことだった。
東京タワーやテレビの公開番組、花火大会に連れて行ってもらったり・・・。としまえんは当時最先端の複合型施設で、流れるプールや波のプールが何と言っても楽しかった。夏休みに行く東京には地元にはない規模のものやことが沢山あったのだ。あの数日で私の背は伸びたんじゃないかと思える程、「東京に遊びに行く」はいつも刺激的な数日間だった。
最近は夏休み限定でテレビ局がイベントスペースを設けているようで、お台場も赤坂も六本木も更に賑やかになっているみたいだ。遊び場の選択肢は昔より増えていて、少子化が進んでいるというのにどこも人がいっぱいということは、それだけ出掛ける人が増えたということなのかもしれない。
暑い時には家に居るのが一番。
そう考えるようになった頃に、不思議と背が伸びるのが止まる。
どうして夏休みの間に、あんなに子供達の背は伸びるのか。
夏休み、子供達の心は「楽しいこと」を探す方に向く。いくつ楽しいを見つけられるかの宝探しのような時間が夏休みだった。
楽しいことは背を伸ばすんだ。
楽しかった頃のことを思い出すと、私も昨日より少し視界が高くなった気がしたのであった。