キーボーディストのKちゃんと、下北沢で一緒に夕飯を食べた。Kちゃんは私と同じでほとんどお酒を飲まないそうで、じゃぁ「美味しい物を食べに行こうよ!」と、少し前に約束をしてから楽しみにしていたのだ。
「美味しい物を食べに行く」
と言っても、飲んべえ場合、美味しいものは「美味しいツマミ」のことなのである。前に私は「美味しいディナーにお連れしますよ」と会社のY氏に言われてついて行ったらそこは焼き鳥屋さんで、冷やしトマトや餃子が出てきて、それをフルコースと呼ばれたことがあった。
そういうことじゃないのだ。それなら焼き鳥屋に行こうと言ってもらいたい。
飲み屋さんは飲み屋さん。「美味しい物を食べに行く」のは「美味しい晩ごはんを食べに行く」こと。だから、普通にご飯がしたい日が私にはあって、そこら辺の共通言語が持てる人が欲しいと前から思っていたのだ。
彼女とはイベントでご一緒させてもらって、2人でゆっくり会うのは初めて。女子話であるにもかかわらず、キーボードの機種の話をしたり、メカやお互いの仕事の話など鍵盤パートのミュージシャンならではのキーボード話が多くなる。
Kちゃんが今コンスタントにやっているというピアノアレンジのお仕事で、携わる曲が変わってもアレンジし終わると自分のムードに仕上がる・・・といった話から出た、「個性なくす方が難しいことなのかもしれないですね」という彼女の言葉が非常に興味をひいた。
「自分探し」で悩むことはよくあるし、よく聞く。
だけど、そうか。
そうだ。
本当は既にみんな自分らしさを持っているのだ。
うんうん、そうだなぁ。
美味しい沖縄料理の店を出てからもう一軒行こうよと誘って、前から行ってみたかった一軒家カフェに一緒に行った。昼のカフェもいいが、夜は灯りがともりまた一段といい雰囲気になるのだ。夜に誰かと一緒にご飯を食べ、そのあと二軒目にカフェに行くというのは、長年の私の夢だった。
「いつでも呼び出して下さいね」
Kちゃんは何気なく言ったのだろうが、これに味をしめた私のこれから餌食になるのではないかと思う。
本日大満足。本当に「美味しい物を食べに行けた夜」であった。