D−naughtライブで六本木に行く。
リハーサルの後、自分の出番まで時間があったので、六本木ヒルズにちょこっと出掛けることにした。
いい衣装があれば買いたいなということもあったが、洋服の値段って本当にわからない。なんでこんな安っぽそうなTシャツが26000円もするのか。と理解出来ないアーティスティック値段のものがあったり、そうかと思えば2900円でワンピースが買えたりもする。値札をペロっとめくる時は、「クイズ!ハイ&ロー」的なクイズの回答者になったみたいで、「これは7800円といったところでしょう」と思ってめくると「59000円」という答えを知る。
私はしょっちゅう「何でやねん!」と心の中で叫んでいる。「なんでなのか」の理由が書いてある値札って、一度ぐらい見てみたいのだ。その理由に感動すれば、例え59000円の品であっても、リボ払いにして買うことは私にも可能なのである。
六本木ヒルズのRというお店に入った。
ここは割といいお値段のするカジュアル系のお店なのだが、やはり「可愛い!」と思った品は予想より2倍程高い値段だった。「理由もなく金額だけが表示されている値札」のままでは財布を開くことは出来なかったのだ。
「いらっしゃいませ」
「よかったらご覧になって下さいね」
値札に憤慨して店を出ようとしたら、めずらしくすごく笑顔の素敵な青年が店員さんであることに気付いた。
めずらしく、知らない人に「素敵なひとだわ」と胸キュンした瞬間であった。
一瞬、乙女な私になったのだが・・・
値札を思い出すと、紅潮した頬は消えた。
<あなたと私の間には深い溝があるの。>
<それに、そろそろ戻らないと>
そうしてシンデレラは店をあとにしたのであった。