家に帰る地下鉄の電車の中で、ふと顔を上げたら斜め前に立っている女性の履いてい居るスカートが自分の持っている物と同じであることに気がついた。色も同じ、そのスカートは新宿の百貨店で買ったものだったので、同じ方向の帰りの電車の中で履いている人が居ても、別におかしくはないのだが、それは今日履いて行こうか迷ってやめたスカートだったので、個人的にはちょっぴり驚いたのだ。
2年前にやはり新宿ですれ違った女性が、自分の持っている同じコートを着ていた。その時も私はその日別のコートを着ていたので、まだ一度も「あら、同じ洋服だわ」と互いに驚くことには合ったことがないが、そりゃぁそういうことにだって、そのうちあってもおかしくはないだろう。自分の持っている洋服は他の店でも売られていた商品。なので、自分が最後の一枚を買おうが日本中に同じ服を持っている人は複数人居るわけで、宝くじには当たらなくても同じ服を着ている人に合うことはある。
今日はたまたま自分が見つけた側だった。
でも見つけられる側になることもある。
その時は私の方は気づかないんだろう。
<あ、それ・・・>
<セールで買ったやつですよね>
<すごく安かったやつ>
<ふぅ〜〜ん、それ部屋着じゃなくて・・・>
<お出かけに着てるんだ>
今日、私はそのスカートを履くのをやめて寒さ対策として、しっかり寒さをしのげる格好で出かけた。お洒落というより防寒を軸に着込んで行ったのだったが・・・。
私が同じスカートの女性に目を向けていた時に、同時に私もこんな風に誰かから見られていたかもしれないのである。
「ジロジロ見てるんじゃないわよ」
昔、ヤンキー女は目が合っただけでこのように絡むという習性があった。
相手はちっともケンカを売っていたわけではない。言い訳を言える隙も与えられなかったと思うが、その時彼女は<まぁ!私と同じ服だわ>と思って見ていただけだったかもしれないのである。