投稿日:2010年04月08日

2010年04月08日

実家の門を入ったすぐのところに、さるすべりの木がある。
漢字で書くと、「百日紅」。100日ぐらいの間、ピンク色の花が咲くのでこう書くのだそうだ。
幹はすべすべしていて、木登り上手な猿も滑って登れないということろからさるすべりという名前がついた。すべすべの幹が綺麗で、植木に興味がなかった私にもちょっと素敵な木だった。やすりをかけてピカピカに磨いたような光沢が自然な状態である。洗練された木のように思えたし、それだけに「さるすべり」という安易なネーミングが合わないような気もしたのだ。
先日、ふとある家の庭にさるすべりが植えられているのを見つけて、なつかしくなった。あまり一般の家の庭で植えられているところを見ることがなかったので、親しみが湧いてしばらく立ち止まってさるすべりの木を眺めていたほどだ。
この辺りもちょこちょこと古い家屋が取り壊されて更地になり、また新しい家が建てられている。夜に明かりがついているのを見て、「あぁ、もう誰かが住んでいるんだなぁ」と人の住む家になったことを知り、外に居ても新築の匂いがしてきそうな雰囲気がある。
敷地には若い木が植えられていて、大きな台風が来たらポキっと折れちゃうんじゃないかと思うぐらいひ弱に立っているが、この若い木がだんだん育っていって家が古くなるとともに立派な木になっていく。
家にある木は長い年月を経て、いつの間にか思い入れのある木に変わって行く。
子供用の自転車と若い木を見ると、私は実家のさるすべりを思い出す。
家の近くに戻ると、最近建った新しい家に明かりがついていた。
中から多分子供達なんだろう、階段を駆け上がる足音が聞こえてきた。
この家で君たちは大きくなって行くんだね。
若いオリーブの木が門灯に浮かんで、新しい暮らしの始まりを通りに放っていた。


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