ブーティはどこへ行った。
去年まであんなに目にしていた「ブーティ」。くるぶし丈のブーツとパンプスを足して2で割ったような形の靴が、数年前ぐらいから店頭で並ぶようになって、「変な形の靴」としか見ていなかったのが、私も去年ようやく「まぁ、一足ぐらい持っていようか」という風に思うようになって購入したというのに・・・・。
この冬はブーティはもう過去の物となったような感じで、ほとんど単語を聞かなくなったのだ。
去年まで「ブーティ」「ブーティ」って言っていたじゃない?
お洒落雑誌はブーティをもう置き去りにして未来に走って行ってしまった。冷たくなった彼氏のように、勝手にこの間までの情熱を過去にして新しい恋に行ってしまったのだ。
お洒落雑誌は信じられないと思う瞬間、またしてもやられた。
最初、流行初めの頃というのは私は毎度、その新しいデザインの商品に興味を持つことはなく、<好きな人が買えばいいわ>程度で遠巻きに見ている。そして次の年も同じぐらいの季節になると、”それ”はお洒落雑誌に取り上げられ、大々的な特集ページを設けたりするのだ。
それでも保守的な私は、心があまり動かない。
<別に、私は今持っているアイテムのままでいいし・・>
しかし、次の年ぐらいになるとそんな頑なな私の心にも変化が生じてくる。
再度、大特集ページなどで展開され、どの店に行ってもその頃には雑誌に載っているデザインのアイテムが店頭に並ぶようになる。丁度その頃には、それまで持っていた自分の物も古びてきていて、新しい物を買おうかしらという時期になっていたりして・・・・。
<じゃ、まぁ毎年宣伝もしているし・・・>
<一つ、買おうかしら>
そして、次の年になるとそのアイテムブームは終わっている。
というパターンを私はずっと踏んでいる。
なんか、「好きだ」「好きだ」と言われ続けて、それでようやく「う〜ん、そうね」とようやく気持ちが向いた時に、「オレ、好きな人が出来てん」と言われる感じと同じではないか。
ブーティは消え、グラディエイターという、フナムシそっくりの変てこりんな靴が、これからは主流になりそうな予感。数年前からちょくちょく見かけてきたが、いよいよ今年更に特集ページが増えている。
もう騙されないぞ。
そう、いつも私のこのパターンは「もう、騙されないぞ」が結論の方ではなくスタートになっている。
悲しいかな・・・・
そして来年ぐらいに遅ればせながらそのフナムシを履き、その翌年にまたもやくやしがっている自分が居るのがもう見えているのであった。