投稿日:2010年04月25日

2010年04月25日

相手に打撃を与える言葉で一番短い単語は「キモい」ではないかと思う。だが私はこの言葉を他人に使うのは好きじゃない。例え生理的に受け付けない誰かのことを指したとしても、言葉自体に悪意があるように思えて、どうも好きになれないのだ。そんな私にも「キモい」で思い出すとあてはまる物があった。
それは田舎の祖母の家で見たマンガの記憶だ。
多分、祖母の家の近所の子供が読み終わったマンガが置いてあったのだと思うが、その中のオカルトマンガが子供心に強烈に恐ろしかった。だいたい祖母の家はうっそうとした木の中にポツンと建っていて、それ自体が気持ち悪かった。トイレは外、お風呂も外にあり、薪でたく五右衛門風呂。裸電球をつけて入るのだが、電気をつけてもなお暗く、ジメっとしていたのだった。
家は小さい土間があり、横に2部屋あるだけの平屋のこれまた小さな家だったのだが、奥の部屋は雨戸がいつも閉まっていて、かつ夏に遊びに行くものだから蚊帳が吊ってあって、一日中日の光がない部屋だったのだ。そしてその蚊帳の部屋に置いてあったマンガが私にとっては衝撃的なオカルトマンガだったのだ。
見なきゃいいのに、恐る恐る読み進めてしまい・・・・。
気分が悪かった。
確か楳図かずおの「へび女」「おろち」などもあったと思う。体に出来た痣が顔になってしゃべり始めるというマンガもあって、出て来る人物の顔が怖かった。というか、これこそ「キモい」の極地だった。
今の子達は「キモい」を連発しているが、まだ甘い。
蚊帳の中で読んだオカルトマンガのなんともいえない後味の悪さ、あれが私にとっては「キモい」の基準になっているのである。


コメントをどうぞ