投稿日:2010年05月30日

2010年05月30日

今日は初めてピアノレッスンの生徒さんをお迎えする日なのだ。
Mちゃんは大学生の生徒さん。子供の頃に習っていたけれどほとんど弾けないとご本人は言っていたが、課題曲はMちゃんの好きな曲、馬場俊英氏のエンターテイナーにトライすることになったので、とりあえず今日はイントロの部分だけの譜面を書いて、4小節ぐらい進めたらいいなぁと思っている。
私のピアノ歴はバイエルから始まって、ブルグミュラー、ソナチネ、ソナタといわゆる王道パターンのピアノレッスンの道を歩いてきたのだが、今になってようやくわかったことは、クラシックの世界でプロの演奏家になるのでないのなら、ピアノレッスンの方法はこの王道パターンを辿らなくていいということだ。むしろこの王道パターンのレッスンが、「ピアノを弾くのって難しい」と思わせる最大の壁になっているような気がするので、そこを工夫出来たらいいなと思っている。
好きな曲が何曲か弾けるようになったという人に何人か会ったことがある。他の曲は弾けないけれど、と言って弾いてくれたりするのだが、そういう人に限って譜面にしたらえらい難しいことを弾いていたりする。だから「好き」は、一番大事な基の部分なんだと思う。そして弾けるようになった曲は自分の宝物になる。10代の頃に「どうしたらプロになれますか」とギラギラした目で先生に詰め寄っていた私も、ずいぶん落ち着いたのだ。
Mちゃんは、自分ではあまり弾けない思っていたみたいだが、少しピアノの前に座って始めると違っていた。楽譜でなく手の形と耳で覚えて、あとは自分が間違った時は自分で認識が出来、他には自然と譜面を見て正しい音符を拾うということが出来る。小学生の頃にしっかり習っていたことが、いつの間にか思い出せていたようで、きっとどんどん上達するなぁと想像が出来た。自分が弾けるようになるのと同じぐらい、フレーズが弾けるようになると嬉しかった。
今日はイントロと歌の最初のあたりまで、予定よりずっと先まで進んだ。
転調が頻繁に出て来る難しい曲なので、この先大変な場面もあると思うが、まずは一曲一緒に完成させたいなと思う。一曲弾けるようになったら、不思議なのだがそれまではなかった何か音楽的な知識と技が身についている。確実に上手くなる。
夜になってメールが届いた。
帰りに楽器屋さんに行って、今日練習したところを弾いてみたのだそうだ。
「好き」だったら必ず弾ける。
そう自分で言っていたが・・・・、
今日レッスンを終えたらこの言葉を私は彼女からもらったような気がしたのだった。


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