投稿日:2010年06月21日

2010年06月21日

ラジオの収録が終わってエレベーターに乗ったら、隅っこに折り畳んだTシャツが置いてあるのを見つけた。
さっきここに来てこのエレベーターに乗った時はなかったTシャツ。
落とし物というにはあまりにも綺麗に置いてあり、それはお風呂場でお風呂から上がったら着る為に置いてあるような、そんな風情でそのTシャツはあった。
<あなた・・・どうしたんですか>
Tシャツが答えるわけがない。
私も理由が聞きたいが、なによりこのTシャツくんが一番自分の身の上を誰かに知ってもらいたいであろう。
だって、Tシャツはエレベーターに必要なものではなく、ここに居る意味がないのだ。”俺、この先どうなっちゃうんだろう”と私だったら不安になる。今だって、見知らぬ私が乗って来てギョっとした顔で自分を見ているわけで、だからと言って俺を迎えに来てくれたわけではないのだ。
一人ぼっちでエレベーターの隅っこに居るだなんて、私だっていやだ。
誰も人間が乗らない時、エレベーターの電気は消えているんじゃないのか。
そして数日放っておかれてその後、ビルの管理人さんにつままれて捨てられるのである。
私が引き取ってあげればいいのだけれど・・・・。
いや、やっぱりそれは生理的に無理。
見ず知らずの男物のTシャツを救うという余裕が自分にはない。
ごめんね。Tシャツくん。
<じゃぁね、グッドラック!>
それにしても何故、あんなところにTシャツが?
エレベーターでの怪事件なのであった。


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