最近、時間を見つけては部屋の掃除をちょこちょこしている。
そんなに物を多く持たないようにしていたつもりだが、改めて部屋の中を見直すと結構「他人にとっては不要品」なものが多いことに気づく。部屋の掃除というのは、これら「他人にはきっと価値がないんだろうな」と思うような物をエイヤ!と処分することで随分シンプルな状態に戻るのだそうだ。
4年前の引っ越しほどではないが、着ない洋服類やもしかして必要になるかも・・・と取っておいた雑誌や小物や食器も久しぶりに思い切って捨てている。
だが私がこうしていろんなものを捨てていると、いつもはゴロンと横になってくつろいでいるダンボが様子を伺いに来るようになった。少し離れたところから、ちょっとハの字型に眉を寄せる。少し不安になった時にダンボがする顔だ。
4年前の引っ越しの時は毎日少しずつあきらかに部屋が片付いていくので、いつも自由に過ごしていたダンボが、私の顔を伺うようになり、そのうちにピッタリ私について来るようになった。まるで<ボクを置いて行かないでね>とお願いをされているようだったのだ。ダンボにとっては居心地のいい自分の居場所がなくなってしまう不安でいっぱいだったんだろう。
「このおもちゃ、もう汚くなったからバイバイね」
引っ越しではなく日常でたまに古いおもちゃを捨てる時には、やっぱりハの字の眉をしてジっと見ている。
<捨てちゃうの?>
そんな表情をして残念そうにその様子を見ている。
我が家では私より犬の方が物が捨てられない症候群なのかもしれないのだ。
キッチンの入り口で私のことを見ている。
<どうしたの?>
なんでもないよ。
部屋を片付けているだけだから。
お前のことを捨てたりもしないし、置いて行ったりもしないよ。
ダンボ、あとで散歩に行こう。
いつもと同じ散歩道。
日中はまだまだ暑いけどまた少し日が暮れるのが早くなってきた。
夜は秋の虫が鳴くようになった。