老犬や小型犬が、ベッドやソファに飛び乗って足腰を痛めない為のペットステップというグッズがある。スロープタイプと階段タイプがあって、3段の階段のペットステップを買って帰った。
ダンボも何年か前に膝を痛めている。もう一生治らないのでこれより悪くならなうように注意してあげて下さいと言われて以来、低反発シートを二段重ねにしてそこをステップにさせていたのだった。
それから「ここ!」と何度も教えて、踏み台であることをダンボにも覚えてもらうことが出来た。そのシートを使ってベッドの上り下りをするようになっていたのだ。
「ダンボ、ちゃんとした階段のを買ってきたよ」
「ほら、これダンボちゃんの」
ダンボのグッズを買って帰った時、それが食べ物でない場合は私だけが盛り上がっていることが多い。おもちゃでさえ「食べ物じゃないならいらないよ」と冷めた感じで私の元から去って行く。ダンボを盛り上げる為に私は大げさにタコ踊りをして見せて、<なんか楽しいことが起こっているっぽい>雰囲気で犬を釣る作戦に出てようやく、買ってきたものを見てもらえるチャンスが得られるのだ。
「ほらっ!これはダンボの!」
「ダーンボちゃんの!」
犬用の階段を手にして着ぐるみのお兄さんのようなオーバーアクションで踊ってみせるのだが、着ぐるみでも何でもない生身だとなんとも滑稽な姿なのだ。
しかし長年の私の努力のかいあって「ダンボちゃんの」という単語の意味は覚えたようで、「これは自分用のもの」である認識をダンボはする。
認識をしたのだが・・・。
ベッド横に設置したペットステップを使わずに、いきなりぴょーんとベッドに飛び乗るダンボ。そして飛び降りる時もペットステップにかすりもしないでノンステップで降りてしまうのだった。
「ダンボのだよ」
練習が必要かな?と思ってベッドの上り下りを教えたのだが、その度にステップの真横をノンストップで飛んで降りて飛んで降りて・・・ダンボはペットステップを使うことはなかった。
コミュニケーションって難しい。
しょうがないので、最後は私が犬になりきり・・・・
「ワンワン」と言いながら自分で上って降りてみて、私がペットになって初日は終わったのであった。