動物を飼っている家では、ワンちゃんネコちゃん用の出入り口を特別に作っている所があるが、ウチはイタチも犬も教えてもいないのにスライド式の扉を開ける技を身につけた。
覚えなくていいものを。
犬のたくらみ。
私が留守にすると、その間にスライド式のドアを開けてイタチエリアに行ってイタチの餌を全部食べてしまう。
「あれ、どうして扉が開いているんだろう」
犬は知らぬ顔でベッドでスヤスヤと眠っているのだが、イタチエリアを見に行くと、餌箱が空っぽになり、その空になった餌箱におしっこをひっかけてその場を後にしているのを発見する。
かなしい。
私が”お留守番、寂しいかな”と少し後ろ髪引かれる思いで出て行くのに対し、犬の方は私が居なくなるのを本心は待っているのだ。「アイツが、出ていったら・・・」と、しっかり計算をして行動に移しているだなんて。
イタチ。
あんな小さい体でありながら、洗面所のドアを開けて入って行く。その奥の風呂場のドアは頭突きで開けるので私が風呂に入っている時など、急にドアが開くことがある。頭を洗っている時には「誰が来たのか」と、ドキっとするのだ。
風呂から上がると、犬が扉を開けてイタチの餌を平らげているのをまた知る。
最初出来なかったことをマスターしたおかげで、二匹は家の中オールフリーの自由を得るようになった。
”私が”動物が暮しやすい環境を作ってあげたかった。彼等は思っているよりも自分で自分の夢を叶えることが出来る。
今や私の役目はうんこ拾いと餌補充のみ。
動物達は更に進化をし・・・
「餌袋も自分で開けられるようになったし」
「トイレの流し方も、覚えただろ」
「もうアイツ、いらないか」
「おう、そうかもな」
そのうちに食われる気がしてきたのだった。