今朝のモーニングはホテルの前のレストランで摂る。昨日外から見て美味しそうだったからだ。
数種類の朝メニューがあったが、果物がしっかり摂れそうなものを頼んだ。バターが甘い味付けになっていて、飲み物はコーヒーもしくは紅茶もしくはオレンジ ジュース。これでチップ込み1200円。やっぱり高いなぁと感じる。日本の食事は繊細と言われているけれど、本当だな。料理下手だと思ってきたが、なんだか自分の味が恋しくなってきた。もしかしたら私、実は料理が上手かったんじゃないだろうかとまで思えてきた。
サンフランシスコは今日は薄曇り。午前中はパラパラと雨も降ったし今日はなんだか寒い。
4日滞在したサンフランシスコを発って今日はカナダのトロントへ向かうのだ。
朝食を終えると荷物の片付けをして、忘れ物がないかのチェックをする。遅い午後の飛行機なのだが、チェックアウトの日はなんとなく慌ただしい。
ホテルをチェックアウトしてbartに乗って空港に向かう。
何も疑わずに乗った電車だけど、これ、空港に行く電車だったかしら。そうでないなら次の駅で乗り換えをしないといけない。車内アナウンスがよく聞き取れな くてあたふたしていたら、近くの男性が「空港に行くならここで降りないとだめだよ」とさりげなく教えてくれて助かった。男性はジェントルマンが多 い。何度もドアを開けてもらってどうぞと言ってもらっている。杖というのもあるだろうがレディファーストで接してもらうとやっぱり嬉しい。
それにしても、こっちでは英語がほとんどわからなかった。
ドコカラキタノ?
ぐらいしかリアルタイムでは聞き取れず、若干の敗北感と共に電車に揺られる。
「Doors are,closing」
電車のドアが閉まる度に車掌さんが言うこの言葉を復唱してみる。繰り返しつぶやいていっこだけでも綺麗な発音で言えるようにしよう。
電車の中でずっと呪文の様にブツブツ口にしていた。
「ドアが…閉まります」
「ドアが〜、閉まります」
「ドアガ、シマリマース」
これが京王線か何かの車内だったら、間違いなく周りは引くだろうが、練習は何度も何度もしてようやく身につくものなのである。
サンフランシスコ国際空港到着。
飛行機の時間に余裕を持って来ているので、安心して確実にチェックインまで頑張ろう!
今回の旅行ではあまり買いたい物が見つかっていないので、買い物らしいことをまだしていないのだ。海外で見つけたものの多くは日本にも売っていて、去年イ タリアに行った時これはさすがにここで買わなくちゃと買った可愛らしいデミカップは、その後秋口になってアフタヌーンティにシリーズで置かれているのを発見した。プロバンスのホテルにホテルグッズとして売っていたリスの小さい人形に至っては、先月高円寺の商店街の雑貨屋で同じ物を見つけて、もう日本で買え ないものはないなと更に思ったばかりだ。
トロント行きの飛行機の搭乗口ロビーに行くと、サンフランシスコであんなに見かけた日本人は一人も居なかった。そうか、ゴールデンウイークも終わったのだ。
サンフランシスコとトロントの時差は3時間。トロントの方が進んでいるので、トロント・ピアソン空港に到着したら日付が変わっていた。
ホテルに電話を掛けて、シャトルバスをお願いする。相変わらず電話の掛け方はよくわかっていないが、シャトルバスに迎えに来てもらう流れはわかってきた。 S5というエリアで拾うのでそこまで行っていて下さいねとホテルのフロントの人に言ってもらって、無事数分後に拾ってもらうことが出来た。ホテルまでの混載バス。全部で4組の乗客を乗せてホテルまで連れていってもらってチェックイン。
トロントまで辿り着けた。
やったー!
靴を脱いでようやくホっとする。
「コンコン」
・・・・?
誰かが部屋をノックするので部屋から覗いてみると、さっきチェックインした時に対応をしてくれたフロントの男性だった。
「はい!?」
慌ててドアを開けると、初老のそのフロントマンはお部屋など特に問題はないですか?と親切に訊いてくれる。
よかった。
クレジットカードに不備があるとかだったらどうしようかと一瞬焦ったのだ。
「thank you!」
ありがとう、問題なくお部屋に入れましたよと身振り手振りで答えたのだが…。
「5フン、ホド、ナカニ、ハイッテモ、イイデスカー?」
「?」
何か故障でもあるのでしょうか?
その後またフロントマンが何を言っているのかわからなくなり…。
うーん。
うーーーん。
ヨクワカラナイデス。アイキャノット、アンダースタンド。
すると
おじさんはハグするジェスチャーをして
「make love!」
と言うのだった。
はぁっ?
「はぁあああ〜〜〜〜〜っ!?」
自分でも驚くようなデカい声と驚きの表情をしたと思ったらそのままバタンドアを閉めていた。
今・・・、確かに「MAKE LOVE」と言ったよね。
びっくりした。こんなことってあるのかしら。
空港に着く直前、トロントの夜景の美しさに感動したばかりだったのだ。今まで見たことのないタイプの夜景の形。精密機械の基盤に綺麗に整然と色んな色を点けたようなキラキラ綺麗な景色だった。
くそ爺さんめ。
あれはおそらく常習犯。
いつもの私なら英語がわからなくなると、最後は笑ってOKと言って済ませてきた。
ちょっとだけでも英語がわかってよかった。
難を逃れた。
やっぱり言葉は大事。
あわや知らん外国人とメイクラブな夜になるところなのであった。
めっ、MAKE LOVE~~???!!!
いやぁ〜私もびっくりいたしました!えぇええええ〜っっ!て叫びましたもん!
無事でよかった!!クソジジイめ~!